基礎の完成、「何でもふける人」の科学、論理
#13132
投稿者:
HN (2001/07/17 16:41)
確かに、道具が人のプレイングを助けると言う事実は存在します。しかし、論理と科学と言うのは、道具のほかにいろいろな要素があります。演奏法の完成、音楽的論理の完成、などなどあります。これは、トップレベルの奏者のみがたどり着けることではなく、むしろ一般の人が判るように説明すれば、必ず効果が上がるものです。道具に「こだわる」意思があるなら、息と振動のバランスを完成させることにエネルギーを費やすことも可能ですし、自身の音楽を自分でどう感じるか、と言うことも良い指導の元に行えば、十分可能です。その全ての要素を自身の内部で消化させることが出来たとき、はじめてプレーヤーの「練習の効果」が出るのです。これは、特に難しいことである必要はありません。試行錯誤の上、自分でたとえばロングトーンを練習するとしたら、どういう振動と息のバランスが取れればよいか、自分で考えます。上手く行ったら、そのプロセスを反復練習、いかなかったら、その原因を把握するように努めます。医学でいう「診断」です。たとえば、医学に詳しくない人でも、腹が痛いと感じたら、頭でなく腹を押さえるでしょう。トランペットの演奏の中でも、必ず自分の礎になるもののきっかけは存在します。最初は、そういう「きっかけ」で、なにかができるようになるかもしれませんが、このレベルの経験を毎日つんでいけば、自分の演奏論理が育成されていきます。地道に、目的を理解し、消化すれば確実に効果は出るのです。一度に上達しようと考えずに、自身の中で自信と信念を持って、「自分」を作っていくのです。そのプロセスにインスピレーションを与えるのが、教師であります。自分の頭で、自分の音楽を考えるとき、この試行錯誤のプロセスは、重要だと思います。失敗から何を学ぶか。これが重要だと思います。 ハーセス、ニューヨークフィルのヴィンス(ペンザレラ)、スカーレット、ナショナル響首席のヘンドリックソン、ジェイコブス、いわゆる「自然派」な人々の数々ですが、その彼らの音楽的育成と言うのは、漠然とした物が在るのではなく、ある意味で、確固とした論理の元にトレーニングしているのです。それは、下にも書きましたが、「意識的に潜在意識を育てる」トレーニングなのです。つまり、耳で自分の聞きたい音、音楽を完全にイメージすることによって、そのプロセスの中で自分の頭が体に、「こう吹け」と言うプログラムを与えるわけです。彼らは、長年の経験からそのイメージで振動と息のバランスが取れます。しかし、耳を生かすトレーニングは、初心者の方でも十分、可能です。 息と振動のバランスをとる上で、トランペットの音のメカニズムを音楽から独立したものと考え、非音楽的なプロセスで、奏法を分解すると、音楽の中でラッパを考えるときよりも難しい物です。なぜなら、「耳」が振動のバランスの確立を助けるのです。これが、「音楽的アプローチ」が抽象的で判りにくいと言われる所以なのですが、「ラッパを吹くプロセス」の中で、耳が死んでいる場合と言うのは、非常に多いのです。耳が活動していないとき、ラッパと言うのは、難しい楽器です。論理、科学の上に、「インスピレーション」が加わって初めて科学的観点からの研究が生きてくるのです。 長文失礼しましたが、言いたかったことは、トランペットと言う「音楽楽器」を科学的境地より見るなら、道具は、「トランペット教育」を促進させる一部の要素に過ぎない、と言うことです。他の科学的要素にも、同じレベルのエネルギーを費やさないと、この楽器での成功は覚束ない、それだけです。建築にしたって、全体図のイメージから始まります。そして、土台の完成をしないと、先には進めません。それと同じです。「家の形をした半完成品」は、「家」ではありません。完成とは、100%です。 あくまでこれは、参考として読んで下さい。誰の情報から自分に参考となるものが得られるか、と言うのは、強要されるべきではないからです。読みにくい文かもしれませんが、ご質問の際は、お気軽にメールかHPの方へどうぞ。 hnmusiker2@yahoo.co.jp |