re:ロータリートランペットについて  #13126
投稿者: ikuharoh (2001/07/17 05:07)

補足説明です。

このハイキーと呼ばれるものは「クラッペン」とも「上昇キー」とも言います。
原理はナチュラルトランペットのシステムを応用しています。
ベルの先からクラッペンの距離が重要です。

唾抜きに当たる所がいわゆるハイCキーになります。C管ではハイDキーと言うことになります。
これはその楽器の開放の指で出る倍音のツボに当たります。そしてそのツボの所に穴を空けることによってその倍音をつぶしてしまうのです。
つまりミソドの音が出なくなるのです。
記譜で加線2本のドの音が出なくなります。
そのためその上のレの音が当たりやすくなるという理屈です。
レの音が出やすいのではなく、ドの音が絶対に出ないということです。

唾抜きと反対側についているのがC管でハイCキーです。B管ではハイBキーになります。
これも同じ理屈で1番を押さえた時に出る倍音をつぶすことになります。
つまりファ、シb、レです。
そのため記譜でドの音を吹きたい時に押すと絶対にシbが出ないのです。

この二つの間ぐらいについているのがC管でハイAキー、B管でハイGキーになります。
これは1,3番を押したときの倍音をつぶすことになります。
五線の上のソの音が出なくなります。そのため加線一本のラの音が当たりやすくなります。

そのほかにも理屈ではすべての倍音をつぶすことは出来ますが、あまり実用的ではありません。だれでも怖いのは五線を出たあたりの音域が不安定で、またクラシックでは良く出てくる音域です。

唾抜きの穴が小さいと思いませんか?これはこれ以上大きくするとクラッペンの役割を果たさなくなるからです。
実際にハイDを吹かなければいけない時はそう頻繁にあるものではありません。有名なところではツラトウストラやアルペンなんかです。
この唾抜きはもう一つの利用法があります。第二線のレの音が出なくなることを利用して第一線のファを吹くときに密かに使います。少し音色が変わるので音の出る瞬間にちょっとだけ押さえます。
この方が実用的じゃないでしょうか?

ロータリーが伝統的と言われるのにはこのような昔からのシステムを使用しているということも理由のひとつでしょう。半分はナチュラルなのです。
ピストンでは楽器の構造上このシステムは使えません。