re:横巻き詳しい方へ  #10558
投稿者: ロータリーTrp1号 (2001/01/17 11:19)

 最初に、ロータリーが、モンケタイプと、ヘッケルタイプに大別できると言いますが、今はもっと個性的で、各社バラバラと言った方がよいかも知れませんね。ただ、ヘッケル、モンケはドイツ圏で大きなシェアを持ちながら、全くちがうタイプの楽器だったので、代名詞のように言われているんでしょう。

 ヘッケルですが、オリジナルはタイプ(管の巻き方)がいくつかあり、1番管が横にのびているよくある普通のタイプと、奏者側に曲げられているタイプがあります。また、ロータリー部よりもベル側の支柱が、ないものなどもあるようですが、S字飾りになっているものもあります。ベルクランツはついているもの、ついていないもの、両方あるようです。
 でも、おそらくロータリーTrpを知る多くの方が、ヘッケルと言えば手前に曲がった1番管と、S字飾りは思い浮かべるでしょうね。クランツは、ういーんたいぷを思えば無し、ドイツタイプならあり、と言ったところでしょうか。

 モンケは外観は WINDSCH さんがおっしゃるように、どでかい楽器(ボアやベル)で、体力がいる、というイメージが強いですね。外観は普通の典型的なロータリー、と言った感じですが、クランツ付きのモンケは見たことがありません。クランツ付ける人はあまりないんでしょうね。支柱の位置や本数に特徴がありましたが、最近は支柱が1本減ったようですね。よくイメージにするのは、70年代のモンケで、マウスパイプとベルをつなぐ支柱が、ロータリーより手前に2本、向こう側にフィンガーフックと支柱が1本というレイアウトでしょうね。
 
 さて、音や吹奏感において2つはちがうと言われます。 WINDSCH さんがモンケについて書いておられますが、確かにそうだと思います。モンケタイプと呼ばれる楽器は、基本的に皆そうだと思います。fで指向性が強く、前に飛ぶ音が特徴でしょうか。
 ヘッケルはより楽に鳴り、響きで聴かせるタイプと言われます。こうした違いは、やはり管の肉厚、ボアサイズ、クランツの有無、管全体の巻き方などが影響するのだろうと思います。

 ヘッケルタイプ、モンケタイプの他に、中間タイプやどちらにも属さないタイプがあると言いますが、最初に言ったように、今は各メーカーかなり個性的だと思います。いや、ホントは昔からそうなんでしょう。

 モンケタイプの楽器、今はモンケの他、ヤマハラボ、タイン、M.シュミットのモンケタイプなどがあるでしょう。いずれも音がよく飛ぶ楽器のようですが、ヤマハはより吹きやすさを追求しているのではないでしょうか。

 ヘッケルタイプ。1口にそういいますが、ドレスデンあたりで好まれたものと、ウイーンで好まれたものとではちがいます。クランツはウイーンでは好まれません。音はより明るく、fでも、重くならず、柔らかさが求められます。ドレスデンの音は少なくとも以前はもっと渋い、そんな感じでしたでしょうか。

 ヘッケル後継者はヴィンデッシュのあと、B.C.マイヤーが継いでいますが、マイヤーはいくつかのタイプを作っています。で、これがタイプ毎に吹奏感や音がちがうんですよ。
 私のマイヤーB管ヘッケルタイプは、重いんです。同じく手持ちのヤマハラボ(モンケタイプ)と同じか、それ以上かな。ヤマハはクランツ無し、マイヤーはクランツあり。吹奏感ですが、マイヤーは軽くありません。ヤマハより渋い音が魅力ですが、ヤマハの方が音がより楽に通る感じです。パワーは、どちらもしっかりしていて、すごく良く鳴り、マイヤーも結局大きな音がします。
 ヘッケルタイプの楽に鳴るという感じですが、これはヘッケルのウイーンタイプに端を発しているようにも思います。

 ウイーンタイプの楽器、ヤマハウイーンモデル、マイヤーのウイーンモデル等が、典型的ヘッケルのウイーンモデルの後継でしょうか。

 いま、ウイーンフィルではレヒナーがほとんどですが、ベルリンフィルも1番はレヒナー使ってました。(今のトップの一人ヴェレンツェイはシャガールウイーンタイプだそうです。)同じ楽器で、ちがう音ですよね。レヒナーの微妙な仕様の違い、彼らの吹き方とマウスピースの違いなどが、音の違いを生むのでしょうか。少なくとも、両団のイメージする音は違うように思います。

 レヒナーはしっかりしてますが、楽にも鳴らせる楽器だったように思います。シャガールは倍音豊かな楽器です。どちらもすごく良い楽器です。ヘッケルのウイーンタイプの影響はあるんでしょうが、むしろオリジナルの楽器と言った方が良いでしょう。

 長くなりましたが、ドイツ系のオケを色々聴いて(できれば生演奏が良いでしょうね)、オケの中でのロータリーTrpの音で、音色の違いと傾向をイメージし、さらに、楽器店さんなどで、試奏されると良いと思いますよ。ことさら、ヘッケルタイプだの、モンケタイプだのと言った先入観は持たない方がよいと思います。
 ただし、判断基準として、できれば代表的なロータリーTrpは試奏されると良いでしょう。
 東京なら、色々吹けますから。
 モンケ、ヤマハラボ、ヤマハウイーンタイプ、B.C.マイヤー、レヒナー、シャガール、シェルツァーなどが基本的でしょうか。
 お店はヤマハ銀座店、ネロ楽器、DAC、ウインドクルーあたりですね。ウインドクルーにリコ・キューンがあると広告に出てましたね。