re:メンソレタームと仁丹(ヘルペスにゾビラックス)nueさん  #11177
投稿者: 市川歯科医院 (2001/02/17 08:05)

あらま、中川先生に御指名されてしまいましたね。(^○^)
医学的にいいますと、ヘルペスにメンソレ―タムが有効であるというのは全く
根拠はありません。しかし、中川先生の場合は実際に効果的であるとの体験的
見解からおっしゃられたわけでこれは個人的な民間療法としては否定できない
ことでもあります。決して中川先生は「ヘルペス患者全員に効果がある」的な
おっしゃり方はしてはいません。
ここで「近江兄弟社のメンターム」の成分を申し上げますが基材としてワセリン
、カンフル9,60%。Lメントール1,35%。ユーカリオイル1,30%
です。これらの成分のどれがヘルペスに有効かと問われればどれもNOです。
ヘルペスとはヘルペスウイルスの感染症です。所謂細菌とウイルスとは別物で
あります。どちらも微生物ではありますが、その発育環境やその大きさ等には
かなり差があります。
帯状疱疹はこのヘルペスウイルスが感染しておこりますがこれは幼児期ですと
「水疱瘡」となりこれが大人になってたまたま再燃すると「帯状疱疹」となります。このウイルスは「(英)Herpes Zoster」です。
また、問題の口唇ヘルペスのウイルスは「(英)Herpes Simprex」
(単純性疱疹)といい、このなかでも口唇に症状がでるものはType Tで
あります。症状は小水泡であります。
一般的にはステロイドを用いた治療法を行います。ここで先に申し上げたウイルスと細菌は違う、というのが問題になるんですがウイルスは光学顕微鏡では見えないくらいに小さいです。電子顕微鏡でなければみえません。余談ですが光学顕微鏡しかなかった時代に野口英世は黄熱病の原因はスピロへータという細菌が原因であると力説したためにかなり風当たりの厳しい反論を受けました。これはウイルスが原因だったのです。話がそれて申し訳ありませんでした。
ここでステロイド(所謂、副腎皮質ホルモン)について簡単に説明しますがこれは
決してウイルスを退治するものではありません。非常に乱暴な言い方ですが組織の
反応を止めてしまうものだと思ってください。ですからウイルスによる炎症という
組織の生理的防御反応が起こらなくなりますのでまた細胞が再製するわけです。
できれば使いたくない薬ですが現在は他に対処方がありません。
ウイルスはその多くは神経組織や骨の小さな窪みの潜伏していて体の抵抗力が減退したときなどに活発になります。ですから対症療法的なことをするしかないようですね。ゾビラックスも抗ウイルス剤としてヘルペスの治療に用いられていますがこれとて上記の理由から対症療法の域を脱していません。
メンタムでヘルペスの発症を押さえる事ができた、または軽減することができた事自体を否定できるものではありません。実体験に基づいた意見でありますからものは試しでやってみてもいいんじゃないでしょうか。それで効果があればもうけもんだ、くらいに思っていればよろしいかと思います。メンタムなら日常的に使用するならリップクリームよりはむしろ乾燥を防ぐという意味ではいいように思います。
リップクリームもメンタムも成分に大差はありませんがその基材に違いがあって
メンタムの方が口唇に強力にくっつくことがないために口唇腺という唇にうるおいをあたえる唾液腺を塞ぎ難いからです。
乾燥を防ぐことによって口唇の細胞の活性度の低下を防止したことによってヘルペスの発生を防止したかあるいは軽減したのではないかと思われますがあくまでこれは推測ですので誤解なきように。
論旨が不明瞭な書き込みで申し訳ありませんでした。言い訳ですが私は皮膚科の医師ではなく歯科医師ですので現在のヘルペス事情等にうといということをふまえて
これを読んでいただければ幸いです。

jazz-trumpet@mud.biglobe.ne.jp