re:カルメンのsolo  #11178
投稿者: ロータリーTrp1号 (2001/02/17 10:19)

 以前もこの話題で失礼しました。カルメンのソロというと、どの部分ですか?「闘牛士の歌」のことでしょうか?以後、その部分について、私見を綴ります。
 
モントリオールの音はコルネットかも知れませんが、私には紛れもないピストントランペットの音にしか聞こえませんでした。それに、コルネット、縦、横等の楽器の違いよる音に違い以前に、表現の上でどう吹くべきかが、もっと問題だと思っております。
 おそらく、組曲版(管弦楽編曲は原曲そのままのものを除き、ビゼー本人ではないですよね)多くはあの吹き方をしていますが、本当のところ、あの手の吹き方は私好みではないんです。なぜかと言いますと、オペラの全曲版等でバリトン歌手が歌う闘牛士のイメージと、組曲版のトランペットソロはあまりにイメージが違うからです。
 
 7月にこのソロをやりました。私は、かねてからオペラのバリトン歌手のイメージ(カラヤン&BPOの録音によるのヨセ・ファン・ダムのバリトンソロ)の、体育会系の男の中の男、その中に漂わせる男のこの上ないセクシーさ、このイメージなんです。力強いところは非常に力強く歌っています。なよなよの色男ではないンですね。管楽器の音的には、トランペットよりむしろトロンボーンソロにした方が良いというイメージさえあります。
 ところが、指揮者に要求されたのは、まさに色男そのもの。どちらというとセクシーさと愛嬌を振りまき、線の細い男のイメージ。ホントはもっともっと勇ましく吹きたかった。指揮者はオペラに詳しく得意として何度も振られている方ですし、共演した演奏会におけるすべての曲で、非常に納得のいく解釈、振り方をされてました。ですから、このときは黙って従いました。でも、もっともっと勇ましく、体育会系の乗りで、大きな音で吹きたかった、というのが本音です。
 後日、NHKの20世紀の名演奏において、日本人歌手による闘牛士の歌が放送されました。このときの歌い方は、まさにうちの指揮者の先生の要求にあったイメージそのでした。要するに線の細い軟派な感じの色男。なるほど、と思いました。でも、やはり、私にはもっと力強いダンディズムこそがこの曲にふさわしいのでは、という思いでいっぱいです。

 デュトワ&モントリオールとカラヤン&BPOではまるで違います。モントリオールは軽く、BPOは重いです。少なくとも私には、オペラこそその神髄であったといわれるカラヤンの解釈、そしてBPOの華やか、鮮やかにして軽々しくない、どっしりした重い音と表現こそ、最後悲劇で終わるこのオペラの演奏(たとえ組曲版といえど)にふさわしいと感じています。

 子ども合唱が入る組曲版のNO.11の曲にしても、冒頭のトランペットファンファーレ、縦のどこか軽い、奥行きのない音より、ドイツトランペット(=もちろん横のロータリーシステムです)の方が、吹いても聴いても素晴らしい。特にC管縦など使おうものなら・・・・。
 とこのみを押しつけるわけではありませんが、まあ、私の感覚では、音色の深みがむしろ邪魔であると言うような場合、オケの中に音を全くとけ込ませず、オケの表面でラッパが浮き立たねばならない場合(つまり、オケをバックに、ポップス歌手等がマイク持って歌歌う場合など)を除き、オーケストラのクラシック音楽のジャンルで、基本的には縦ラッパを使う必要は全くなく、使えばむしろ音楽をぶちこわすとまで思えてしまいます。
 ここまで綴ると縦ユーずーの方はご立腹でしょうが、私は縦を吹いてみる度に嫌気さえさしてくるのです。逆に言うと、それほどに横ラッパは魅力があり、カルメンのソロで、力強さ、セクシーさなど、闘牛士のダンディズムをめいっぱい表現しようとすれば、柔らかく吹け、深みのある音色、そして華やかに吹くとき、縦に勝るとも劣らず華やかで、まさにあらゆる表現が可能なドイツラッパこそがふさわしい、と考えてます。

 コルネットでは柔らかすぎ、華やかさが今一つ。それと、同じ柔らかさでも、ドイツラッパとは傾向が異なります。もっとメロウな曲ならコルネット、さらにフリューゲル何てこともありましょうが、やはりカルメンはトランペットだろうと思います。縦は、少し音色に柔軟性がないように思います。操作性がよく、縦になれてる方には吹きやすいでしょうが、出てくる音は、奏者が思うほど深みのある柔らかい音は出ず、結局一本調子になりがちですから。軽やかさを強調したいなら、縦C管という手もあるでしょうが。

 yossyさんのリコ・キューンがホールの鳴り響くのを期待しているのは私だけなのでしょうか?

 最後に、好みばかり言って申し訳ないです。あくまで私の感覚ですから。これを読まれた方は、一つの意見として受け取って下さい。それと、モントリオールの奏者は、今も昔も上手いですよ。破綻を来さず、丁寧で音楽的、素晴らしいと思ってます。