re:便乗質問です。市川先生!  #11721
投稿者: 市川歯科医院 (2001/03/30 08:14)

藤井先生からの直接の御指名でまことに光栄の極みです。
さっそくですが微力ながらお答えさせていただきます。
矯正治療というのは歯並びや個々の歯の生える方向や位置に異常があるために
噛み合わせが悪い症例に対して行う治療をいいます。歯並びを矯正することで
問題が解決する場合はこれを「歯列矯正」といいますがこれだけでは問題が
解決しない場合があります。たとえば物凄い「受け口」のように顎の骨そのもの
の発育が過大や過小の場合、外科的に手術を併用します。これを「外科矯正」と
いいます。
審美歯科というのは「見た目」が悪い場合(歯の色調や形態)に行う治療です。
主に前歯の色や形を改善します。
これは前歯に作り物の歯をかぶせたり、「付け爪」のような形の板状のものを
接着することで見た目をよくするのが主な治療です。
両者の一番の違いは前者は保険適応であり後者は保険適応ではないということで
しょう。こう書くと「矯正って保険きかないんじゃないの?」と思われる方が
いらっしゃると思いますが、ある条件にあてはまる症例では矯正も保険が適応
されます。これは医師が病的な歯列不正であると診断した場合に限り外科矯正も
併用することを条件に、大学病院でできます。
この場合の大学病院とは「そこに矯正科と歯科口腔外科がありある症例数以上の
外科矯正治療の実績がある」病院をいいます。
見た目が悪いから矯正するというのが一般的ですからこの時点での両者の違いは
ないと考えます。ですから一般的な矯正は保険が効かないわけです。
では厳密に矯正治療を要する症例とはいかなる症例を指すかというと歯列不正や
顎骨の発育異常により機能的に病的な状態を呈するものということになります。
例えば、奥歯の一点でしか噛み合わせがなく前歯が噛み合わないので摂食障害が
著しいものや極端な出っ歯で唇が閉じられないために口呼吸になってしまうような
場合等です。この場合は附随的に見た目も悪いということになると思いますが。
まとめると機能的に問題があれば矯正で見た目的に問題があれば審美歯科であると考えます。
ここは歯科の学会の場や論文発表の場ではありませんのでかなり一般的な場合を
述べたに過ぎないことを補足しておきます。

(2)の質問でありますがこれはまったく私的見地から述べざるをえませんが
コンセンサスは得られていないと考えます。
理由は管楽器プレイヤーの為の歯科医学という学問が存在しないからであります。
管楽器を演奏するに最適な歯並びとは何か?という問題に対してそれを研究すると
いうことが学術的意義をもたないからです。ですから当然システマティックな治療法はありませんからそのドクターと患者の個人的な治療法を模索することになるのではないでしょうか?
また、我々も大学では上記のようなことについての講義はまったく受けていません。これは難しい問題だと思います。
あくまでプレイヤーの主観でしかなく絶対値的なものが存在しないわけですから
どこをその治療の終了と見なすかが難しいのです。
以上が私の見解です。
更なる質問等がありましたら遠慮なくしてください。私がわかる範囲でお答えいたします。


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