re:粘膜奏法の写真  #13122
投稿者: ロータリーTrp1号 (2001/07/16 22:39)

 粘膜奏法の定義が以外にはっきりせず、中川先生と藤井先生はその
定義するところが微妙に違っている様に感じるのは私だけではないよ
うに思います。
 
 実は、藤井先生の「朝練」の本を購入しておらず、それを熟読して
いないので、何とも言えませんが、少なくとも、自分の奏法が根本的
に間違っていないのか、という不安もあり、以前のスレで藤井先生に
粘膜奏法についてお尋ねした次第です。

 藤井先生の短いお答えから判断する限り、私の場合、中学1年生の
冬に、もっと上唇をカップに入れたアンブシュアに変えたことが思い
浮かびます。それまでというと、10分のステージにのるのに、その
30分前に一回曲を通すと、本番ではもうばてていた、というほどス
タミナがなく、音も、ハイBは出るが薄っぺらで、そのため、3年引
退後2年不在のため、1年生の自分が1番としてパートをリードしな
きゃいけない事態を、非常に不安に感じていました。
 そのころ、もっと上唇をカップに入れるアンブシュアに変え、それ
から劇的にスタミナもつき、音もより大きく、しっかりとして来まし
た。ハイC位ならしっかりとした鳴りで曲にも使えるようになりまし
た。もしかしたら、それが粘膜奏法からの卒業だったのかもしれませ
ん。

 ただ、それから20年数年ほどたって、その間、ラッパについても
時間的にあまり吹けない時期とか、そのため、楽器引っぱり出しても、
うまくいかずたたきつけたくなったり、もうやめようか、などと思っ
た時期を経て、今、アマオケで楽しんでいる自分があります。その今
の自分に、やはり奏者としての壁を感じるのも事実。若いとき(20
代後半)に、ブランクなく、もっと楽器を吹き込めていたら、今より
数段上の自分がいたかもしれません。あるいは、高校時代に吹奏楽部
をやめていなかったら、理想的プレイヤーだったかもしれません。し
かし、「たら、れば」を言っていても仕方がない。今からの努力で、
何とか一段上に行きたい。そう思っています。

 ところで、現時点での私は、「筆を選ばないとまともに鳴らないプ
レーヤー」です。以前はヤマハ13B4を永く使っておりましたが、
中川先生に質問し、お答えいただいたことなどをきっかけに中川モデ
ルを試す気になり、14B4NEEにしました。16B4NCも同時
に購入しましたが、正直もう少し抵抗感が欲しく、14B4NEEに
落ち着いております。ただ、慣れの問題もありますが、これが私にと
ってはパーフェクトというわけではなく、もう少しここがこうならよ
り自分にあっているかも、と思うこの頃です。13B4は今では少し
タイトで、14B4NEEで感じる不満を解消してくれはしません。

 多少編成が大きくなろうとも、それを打ち抜けるパワー。明るく、
それでいて使用しているロータリーに合う音色が出せること。アンサ
ンブル、コンチェルト等のソロで、長時間吹いてもばてない耐久性と
繊細な表現ができること。何本か楽器を使うので、同じモデルのMP
がばらつきなく手にはいること。

 以上を望むと、ヤマハが精度、値段の上でよく、新しいコンセプト
の中川モデルに期待しているところです。

 だから言うのかもしれませんが、「道具は何でも良い」的な話、は
っきり言って何の参考にもなりません。どんなMPでも吹ける方の話
が、私のようにMPを選ばないといけないプレイヤーから見ると、遠
い世界の話で、対岸の火事です。少なくとも、中川先生の言わんとし
ていることの方がずっとわかりやすい。

 たしかに、中川先生のご意見は、一つの見解でしょう。そのことは
ご本人も言っていらっしゃいます。合う、合わないを自分で判断すれ
ばいいし、しっかり鳴って本人が満足していればそれで良いでしょう。
しかし、わらをもつかもうとしているものにとって、中川先生のアプ
ローチの方がむしろわかりやすい。

 バド・ハーゼスはなぜあんなにすごいんでしょう。彼は、アンブシュ
アがどうのこうのなんて論議することは戯れ言だ、なんて言っています。
歌うこと、音楽することが大切だ、と。今のBPO首席のヴェレンツェ
イは彼についていましたが、ヴェレンツェイにはそれで良いでしょう。
でも、それじゃ、すくなとも私にとってはハーゼスは雲の上のままで、
足下さえ見えません。どうやったら、BPO前首席のグロートのよう
にあれだけのメンバーを率いて、アンサンブルコンサートすべてをトッ
プで引っ張れるのでしょうか?チェコフィルのケイマルのブラスアンサ
ンブルでのパワーはまさに化け物でした。あの音量で、最後までアンサ
ンブルやっちゃうんですから。彼らは、天才、化け物で、どうあがいて
も違うからこそ、世界的プレイヤーなのかもしれません。あのレベルの
話をしなくとも、私ならばガルリエリを何曲も続けて吹くことは残念な
がらできんのです。

 どうやったら吹けるようになるのか。練習するのは当たり前でしょう。
でもそれだけで、十分ではないように思います。もっと言えば、MPにつ
いては最も重要な道具であることは皆が認めるはず。そのMPを自分で設
計し、オーダーメイドで作ってもらえる位の知識があっても良いと思う。
その意味では、中川先生に反論する方については、もう少し、科学的にM
Pについて論じて欲しい。まして、これからラッパを吹いていこうとする
子供たちに接する機会があるものとしては、道具選びから慎重に入ること
は必要なことです。私自身については、今更アンブシュアまで変えられな
いなあ、とは思いますが、もしよりあった道具があれば、もっと効率よく
吹けるかもしれませんしね。
 中川先生がおっしゃるように、種々のスポーツと同様、道具選びがしめ
るウェイトは非常に高いはず。名人の包丁で、私は名人と同じようにさば
けはしません。しかし、名人が素人の道具で、自分の道具と同じ仕事をす
ることはできないはずですよ。名人は道具を選び、それをさらに調整して
ますから。魔法の道具はありません。失礼ながら、中川モデルといえどそ
うだと思います。しかし、よりあった道具、について考えるとき、中川先
生のアプローチが参考になると思うのは私だけでしょうか?

 もちろん、音楽の内容やスタイルが、音楽的に道具に何を求めるかを知
った上でですよ。私の場合、ロ−タリーより、ピストンが日本人により合
っているとして、それでもロータリーをメインに使うことをやめるつもり
はありませんので。それが私の今の好みであり、こだわりだからです。そ
の上で、よりよく吹ける少しでも効率的なアプローチ、論じていただきた
い。

takahiroakiy@do4.enjoy.ne.jp