我が発言の主旨  #13133
投稿者: HN (2001/07/17 18:52)

もし私が、「道具は関係ない」と言った印象を与えたら、それは、私の意思に背くものでありますので、いくつか、思うところを述べたいと思います。

いくつかお聞きしたいことがあります。

>そのころ、もっと上唇をカップに入れるアンブシュアに変え、それ
から劇的にスタミナもつき、音もより大きく、しっかりとして来まし
た。ハイC位ならしっかりとした鳴りで曲にも使えるようになりまし
た。もしかしたら、それが粘膜奏法からの卒業だったのかもしれませ
ん。

同じ道具でこれだけの違いが出せたわけですね。この道具は、今は合わないのですか?

>その今の自分に、やはり奏者としての壁を感じるのも事実。ところで、現時点での私は、「筆を選ばないとまともに鳴らないプレーヤー」です。以前はヤマハ13B4を永く使っておりましたが、中川先生に質問し、お答えいただいたことなどをきっかけに中川モデルを試す気になり、14B4NEEにしました。16B4NCも同時に購入しましたが、正直もう少し抵抗感が欲しく、14B4NEEに落ち着いております。ただ、慣れの問題もありますが、これが私にとってはパーフェクトというわけではなく、もう少しここがこうならより自分にあっているかも、と思うこの頃です。13B4は今では少しタイトで、14B4NEEで感じる不満を解消してくれはしません。

楽器がしっくり来ないと精神的に気負いを感じる傾向、よくわかります。

>多少編成が大きくなろうとも、それを打ち抜けるパワー。明るく、
それでいて使用しているロータリーに合う音色が出せること。アンサ
ンブル、コンチェルト等のソロで、長時間吹いてもばてない耐久性と
繊細な表現ができること。何本か楽器を使うので、同じモデルのMP
がばらつきなく手にはいること。

これは、究極の道具を見つけても自らの演奏に不満・問題があったら、実現しない事は、自明の理でしょう。私の言いたいのは、そこなんです。

>どうやったら吹けるようになるのか。練習するのは当たり前でしょう。

ご自身の中で、どういう練習を何のためにやるという哲学は確立されていますか?

>でもそれだけで、十分ではないように思います。もっと言えば、MPにつ
いては最も重要な道具であることは皆が認めるはず。

たしかに、MPは、非常に重要な道具です。また、楽器のちょっとした工夫が鳴りを良くしたりするのもよく言われています。(支柱、バルブキャップ、楽器本体のレシーバーとMPのギャップ、丸クルックVS角クルック、スライドのブレースの位置、ETC) ただ、それが、自分の要求を完全に満たせない限り自分の音楽に支障をきたすと言うのは、私にとっては、少々飛躍した発想だと思うんですよ。もちろん、それがロータリーさんのおっしゃっていることとは言ってはいないのですが、お話を聞く限りでは、音楽と楽器が隔離されているように思えるんです。

>種々のスポーツと同様、道具選びがしめるウェイトは非常に高いはず。名人の包丁で、私は名人と同じようにさばけはしません。しかし、名人が素人の道具で、自分の道具と同じ仕事をすることはできないはずですよ。

まあ、確かにそうなんです。しかし、自分の理想的な道具以外では何も出来ないということはないです。これは、その状況におかれたときの気持ちの持ち方と、その気持ちに対する自分の自信でベストの状況以外でもいい結果を出すことが出来ます。これは、プロだけが出来ることではありません。また、メンタル(精神)的な要素の育成は、根性ぶきとは、別物です。

>その意味では、中川先生に反論する方については、もう少し、科学的にM
Pについて論じて欲しい。まして、これからラッパを吹いていこうとする
子供たちに接する機会があるものとしては、道具選びから慎重に入ること
は必要なことです。私自身については、今更アンブシュアまで変えられな
いなあ、とは思いますが、もしよりあった道具があれば、もっと効率よく
吹けるかもしれませんしね。

>名人は道具を選び、それをさらに調整してますから。魔法の道具はありません。失礼ながら、中川モデルといえどそうだと思います。しかし、よりあった道具、について考えるとき、中川先生のアプローチが参考になると思うのは私だけでしょうか?

反対意見を述べた方々も、中川氏の楽器、道具の哲学を否定しているのではないと思いますし、彼のアドヴァイスにより、きっかけを得た方も多いでしょう。

>もちろん、音楽の内容やスタイルが、音楽的に道具に何を求めるかを知
った上でですよ。私の場合、ロ−タリーより、ピストンが日本人により合
っているとして、それでもロータリーをメインに使うことをやめるつもり
はありませんので。それが私の今の好みであり、こだわりだからです。そ
の上で、よりよく吹ける少しでも効率的なアプローチ、論じていただきたい。

今お持ちになっている、ヤマハの中川さんのモデルは、ロータリー用のMPでしょうか? ロータリーとピストンでは、もちろん楽器のバランスが若干から、かなり違う場合があります。しかし、これは道具だけではなく、奏法についても同じです。ピストンに息を入れる要領でロータリーに息を入れても鳴りません。楽器の仕組みの違いです。現在、私の友人でドイツ、ラインオペラで吹いているのがいるんですが、やはり、楽器・道具のバランス、吹き方を変えたと言いました。彼は、ジュリアード卒で奏法は、アメリカのピストンで覚えた男です。努力の虫で、とてつもない労力を使い、遠回りしながらもゆっくり上手くなっていった人です。私も彼のロータリーで演奏してみました。発見は二つありました。1.ピストンの要領では鳴らない、しかし、音のイメージによってピストン用のマウスピースでもロータリーに近い音を出すことは可能。2.ロータリー用のマウスピースでも、鳴らし方、息の入れ方を知らないとならない。
と言うことです。

非常に失礼な表現かもしれませんが、音楽、楽器を吹く基礎的素養が全ての面で確立されないと、楽器ってのは自分の音楽世界を表現する媒体としては吹けないんです。これは、非常に直面するのが厳しい現実なんですが、それを乗り越えたときに、真の進歩が音楽家として、ラッパ吹きとして得られると確信します。

hnmusiker2@yahoo.co.jp
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