re:後輩の楽器選び  #14595
投稿者: 29L (2001/11/12 01:29)

こんにちは、らくださん。
後輩の楽器選定につき合うとのこと。責任重大ですね。
まずはメーカを限定する必要は無いと思います。
一番確実なのは、使用者が考える、一番好きな音がするメーカで、プロの選定書が付いた楽器が良いです。但し、選定書が付いていても必ず使用する本人が試奏(又は全く吹けない人の場合は一緒に楽器を選ぶ人が試奏)すべきです。同じメーカの同じモデルでも個体差による感覚は全く違います。勿論プロの選定書が付いていない楽器でも同じなのですが(この話は平行輸入ものの場合特に避けて通れません)・・・。試奏する場合一番目に注意するのはまず楽器のメカニズムがスムーズであるか、各スライドのはめ合いの精度が良いかどうかのチェックです。金管楽器は工芸品であると同時に工業製品ですから、機械的な精度は重要です。次にその楽器は「吹きやすい」か、「自分が良いと思う音がするか」どうかです。はずれの楽器は、同じ製品と比較して「息が詰まる」感じがし「なんだか吹きにくい」感じがするはずです。
後は各音域における音程と音のムラのチェックが必要ですね。出来ればリップスラーが滑らかにできるかも確認したほうが良いです。
尚中古の楽器はお勧めいたしません。
理由は
 1前のオーナーの使用状況が分からないのでどの様な事故歴があるのか、癖が付  いているのか分からないこと。思わぬトラブルが発生するかもしれず、その場  合、使用者が楽器に対して信頼感を失うと思います。最初で(最後かもしれな  い)一本は重要です。決して安い買い物ではないですから、合わない場合、自  分の愛器に対する信頼感を失うことは演奏活動及びテクニックの向上にメンタ  ル的な影響があると思います。
 2これは私個人の考え方かもしれませんので無視していただいても結構です。一  般に楽器は吹き込むと良く鳴るようになると言われているようですが、本当で  しょうか?吹けば吹くほど、楽器として劣化していくものではないでしょう   か。単純に一個人が「その楽器」に慣れていって「吹き易く」なっていくのは  理解出来ますが、伝説のようになっている「吹き込みが重要」と言われている  その根拠が曖昧であることと、私自身いろんな楽器を入手、試奏した上では  「吹き込み」によって楽器自体が「吹き易くなる」という変化など一度も感じた  ことがありません。20年くらい吹いていって「悪くなっていく」経験ならあ  りますが。また10数年ぶりに訪れた出身高校でかつて自分が吹いていた楽器  を吹いてみたら、「全然鳴らない」という「音の劣化」を感じたことがありま  す。
  以上の理由により「私個人として」「中古楽器」を個人持ちの最初の楽器にす
  るのはリスクが大きいと感じます。

最後に新品の楽器で「私自身」が経験した普通に使えるラッパで20万円以下の製品について感じていることを記します。

YAMAHA
この価格帯の楽器は音程、メカニックに限らず音も良いですよ。音が好きかどうかが問題でしょう。
下倉楽器チューンのYTR−800
ウインドクルーチューンのYTR−83系
あたりは軽く鳴り、しかも音が通るように思います。

BACH
今日のスタンダードである37ベル25マウスパイプのストラッドも楽器屋さんによっては20万円程度で入手可能です。明るく密度の高い音がします。2本支柱モデルは息の抵抗感が強く、1本支柱(リバース)は息の通りが良いです。ただ当たりはずれが大きいですね。

XO
2本支柱と1本支柱のモデルがありますが、一番特徴的なのは、演奏者の色が出しやすく、楽器自体の特徴が良くも悪くも表に出ないことでしょう。各音域によるムラも吹奏感も安定しており、一番オールラウンドかもしれません。

STOMVI
良い楽器です。TRUMPET LOUNGEという神奈川の店が正規代理店になっています(このBBSをご覧の方は既にご存じでしょうが)。
一言でいって軽く良く鳴ります。中音域以上で息の抵抗感をあまり感じることなく軽く明るく伸びる音は、気持ちが良いです。
値段もこの品質に対して大変安いと思います。

F BESSON
アメリカのジグマント カンスタルが作っている楽器です。繊細で良く通るフランス風の良い音がします。日本国内であまり人気が無いようですが、それゆえ当たりの楽器でも比較的安く販売されているよう(20万以下の場合もある。定価は24万前後)です。楽器屋さんで選定書付きの楽器を見かけたら一度試奏してみることをお勧めします。欠点は、左手の支持位置に対して楽器のベル側が重いことでしょうか。

以上勝手なことを申し上げました。

では