re:なるほど!  #15043
投稿者: P (2001/12/15 01:53)

「たれ」さん、こんにちは。


>音を安定させるには腹筋はいりますか?いるという方といらないという方がいますが?

非常に難しい質問だと思います。
と申しますのも、「たれ」さんが「どのようにして(どのような事を言われて)吹奏楽器演奏をスタートされたか」によるのではないでしょうか?

もしも、「たれ」さんが中学校などの吹奏楽部などからスタートされたのであれば、おそらく「へその辺りに力をいれて」とか「ベルト一帯を緊張させて」というようなことを耳にされたと思います。

僕の意見と致しましては、そのような腹筋の使い方&筋力は「不必要」だと思っております。
以前、このBBSに「呼吸」に関して書き込んだことがありまして、その引用になってしまいますが、僕のアプローチを少しご紹介させて頂きます。

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よろしかったら、お試しになってみて下さい。

a)お腹を8分めぐらいの力でひっこめる。
b)へそに両手を当てて、お腹が出てこないように注意する。
c)息を吸う。(お腹をださないで...)

始めは戸惑う方もいるでしょう。しばらくそれを続けると、だんだん胸の方でしか呼吸できない事に気が付いてもらえると思います。

そうです、これが本来の「呼吸」なのです!

肺に空気が入っていくのと同時に、横隔膜は下に広げられていきます。横隔膜は人間の意志でコントロール出来ません。ですから、お腹を使って横隔膜をどうこうしようというイメージは持っても無駄だと思います。肩は固定しようとせず、でも動かそうとせず、息を吸うことによって「動いてしまう」のが、力も抜けていてよろしいと思います。
もしも少し慣れてきたなら、お腹はひっこめたまま背中の方にも息を入れる感じです。これに慣れたら、お腹はすこしリラックスさせてもよいでしょう。
こうすることによって、息を沢山吸って有効に(息のスピードアップ、圧力アップ等)使えるだけでなく、息を吸ってから吐く時への移行が楽になります。すなわち、音をいきなり当てる時等にも効果を発揮してくれる訳です。

息を吹く時に「鞴(ふいご)」の様なイメージは持たない方がよいと思います。なぜなら、息を吹く時に「(力ずくで)押し出す」と、その後、息を吸う時に「(力で)押し込む」事になり、どんどん苦しくなっていくでしょう。僕は、下から押し出すようにして吹くのではなく、「一番最後に吸った息」(肺の中の上の方)から「順番に」吐き出すイメージを持つようにしています。

「体を締めて息をひねり出す」と、次に息を吸う時に、肺がその最大のキャパシティーを使えるスペースを「殺す」ことになりかねません。ですから、「息を吹くにしたがって肺だけが小さくなってゆく」と考えた方がよいと思います。そうすれば、体内には常に一定の容積を保ちつつ、肺はのびのびと自分の仕事が出来るわけです。

そして、息を吐く時は、ゴルフやテニス、バットのスイング、或いはピッチング等をイメージしてください。吸った息は止めずに吐きます。絶対にとめません! 上のスポーツの例で考えると、もしもバックスイング(吸気)からスイング(排気)への移行の途中で動きを止めたら...経験のある方ならお分かりでしょうが、ボールを飛ばすのに、2倍、3倍の力が必要になり、コントロールも難しくなります。という訳で、このような方法で楽器を「力ずく」ではなく音を操る事が可能になるわけです。

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よく昔から「肺で呼吸をすると、肺を潰すぞ!」などと云われていますが、(特殊な病気でない限り)それは「肺に入った空気を、外から(腹筋や腕を使って)力ずくで押し出そう」とするからであり、ちょうど「膨らませた風船」を、「手で無理矢理萎ませる(力が強すぎると破裂する)」ことと同じだと思います。

上にも書きました通り、「音を安定させる」には、「(力み等のない)上手な空気のコントロール」ということが一番大切なことだと思います。

という訳で、「きちんとした姿勢を保つ以上の腹筋は、それほど必要ない」というのが僕の意見であります。
さらに、「筋力自体」を考えることよりも、例えばテニス、水泳などのような「リズミカルな運動」を定期的に取り入れて全身を無理なく動かして、ご自身の「フィットネス・レベル」を常に上げておくことが、トランペットを吹く上でも理想的なことだと僕は思います。(なかなか難しいですけれど...)


何かご参考にして頂けそうなものがありましたら幸いです。