re:1番と3番管調整スライドでの音程調整の必要性は必須か??  #15124
投稿者: nue (2001/12/19 20:43)

なんかすごくいっぱいレスついてますね。まとめを兼ねて、ちょっと語らせてください。

1)トランペットの特定の音(実音B、C)が音程が悪いのは「必然」

皆さん当然経験的に知ってることですよね。トランペットというよりは
3本バルブの金管楽器の宿命ですが・・・ 半音に相当する長さを「1」とすると、
  第1バルブ=2
  第2バルブ=1
  第3バルブ=3
となっているはずなんですが、これはあくまで基準(例えばB♭管)の管長に
対しての割合の話。実際には、管が長くなるほど、半音下げるのに必要な延長
管の長さも長くなっていくので、例えば1番(2)を押さえてA♭管の状態にした
ところからさらに半音下げるには2番(1)では微妙に足りないことになります。
で、その足りない分を補った長さ(3+α)に3番バルブを作って補正しますが、
さらにそこから半音、全音、全半音、と下げていくにはさらに1番・2番では
長さが足りなくなるんです。その不足分を補うしかけがトリガーです。
この意味で、楽器としての性能をフルに発揮するためにはトリガーは「必須」と思います。

2)音程はひとつではなく、手段もひとつではなく・・・

実際にはトリガーは下のB・Cだけでなく、他にも存在する「気色悪い音程」を
補正するのに役立てている人が多いと思います。ただ、音程の補正の方法は
トリガーだけではないですよね。換え指を使ったり、口でチョークしたり・・・
それらも含めて、表現しやすい方法を駆使するのが一番いいと思います。
音色やフィンガリングや、ハーモニーの構成を考えて手段を選ぶのが理想です。
平均率では気色悪い音程でも、3度の音程を綺麗に鳴らすときには重宝する、
なんてこともありますよね。これって別に邪道でもなんでもないと思いますが。
 ジャズ屋さんということですが、アドリブの中でフレーズのフィーリング上
別に音程を補正しなくてもいい、とか、敢えてしないとか、トリガーを使わない
で補正するほうが「味」が出る、とかいう必然性があるなら、それでも別に
いいんじゃないか、と思います。

3)ギミックとしてのトリガー、基本テクニックとしての音程調整

ロータリートランペットなんかは確かに1番トリガ無いですが、最近の楽器で
は3番との連動トリガをつけてある楽器なんかも見かけますね。タインの
ピッチファインダーシステムなんかはチューニング管そのものを動かせるよう
にしてあったり・・・
 他の金管楽器で言えば、トロンボーンなんかは耳でポジションをとるわけですし、
ホルン奏者も右手のテクニックでの音程調整には相当神経使っています。
ユーフォニアムではコンペシステムが発明されましたし、チューバなんかは
5本も6本もバルブをつけて音程を調整しています。

 こういうものを使うかどうかは奏者の自由なんでしょうが、結局は楽器の
構造上の問題をいかに解決するかという必然性から生まれたギミックなわけで、
「なくてもなんとかできるが、使えば便利」
「使わないことで楽器の操作に奪われる神経を音楽に振り向けるメリット」
という点に帰結するんだろうと思います。