re:唇の厚さって・・・  #15455
投稿者: 椎名 (2002/02/12 13:52)

下っ端さん、ボクも唇が厚いですよ!

確かに、誰かの実験で唇が厚い人よりも薄い人の方がはじめて楽器を吹いたときに音が出やすい、という結果が出ていたと思います。
ボクの周りには唇が小さく薄い子がいますが、ハイトーンが得意だし、耐久力がめちゃくちゃあります。ボクの方がたくさん練習しているのにです。

しかし、唇が厚いから吹きにくいとか、うまくなれないとかっていうのは絶対に無いと思います。
まず、下っ端さんがどのくらい分厚い唇なのかわかりませんが、僕ら日本人よりもはるかに分厚い唇を持っている黒人プレイヤーはすごい音で楽器を鳴らしていますよね。
ボクは彼らのアンブシャーをネットでたくさん探しました。
共通することは、みんなマウスピースのリムより内側に唇の赤い部分が収まっているということでした。
ボクも下っ端さんのようにほんの1月前まで下唇の赤い部分がリムから外側にはみ出ていましたが、意を決して上下の唇を内側に巻き込み、今は赤い部分がすべてカップの中に収まっている状態を維持しながら吹くように気をつけています。
はじめは音域が1オクターヴ以上減りましたし、音もでにくかったです。タンギングも未だに前のようには吹けませんが、慣れるにつれて日々音が良くなり、何よりも耐久力が全然違います。音域も日々増えつづけています。

下っ端さんは今、演奏する上で何か困難なことがありますか?
もしそれがないのであれば、今はただ楽しく効率よく練習するのが一番いいとボクは思っています。
ボクの場合は前述した奏法に変えることで良くなりましたが、人それぞれだし、やりたいジャンルによっても必要なコトは変わってきますよね。
ただ、やはりうまい人のアンブシャーをよく観察したり、その人の普段の練習の仕方を知ることはすごく重要だと思います。
何よりも生の音を聴き、本番の場数を踏むことの方が大切だとは思いますが。

それから、唇の厚さによってマウスピースの径は直接関係ないと思います。
これもやはり何を求めるかによって変わってきますし、アンブシャーによっても合うサイズが変わってくると思います。
ボクはバックの1-1/2Cを使っています。これより小さくなると唇がカップに完全に収まりません。
しかし、完全に収まらなくても良いのかもしれないし、出したい音色が出るマッピが小さいマッピなら小さいマッピを使うと思います。

何が何でも太いハイトーンを出したいなら、カップが小さく浅いマッピを使うのがいいのではないかと思っています。
また、とにかく耐久力が欲しいというのであれば同じように小さいマッピやリムが厚めのものがいいのではないかと思います。
あの唇の超厚いブラウニーは今で言うバック10-1/2Cくらいの大きさのマッピでしたし、反面天才ウィントン・マルサリスは1-1/2Cくらいです。彼も当然唇は分厚いですよね。
ニコラス・ペイトンは1-1/4C、テレンス・ブランチャードも1-1/2C。
また、彼らは絶対に唇を上下とも内側に巻き込んでいると思います。

日本だと日野さんはバック10-1/2Cよりちょい小さめ、原朋直さんはバックで言うと3C、松島さんはバック7Cのカップに6Bのリム、岡崎好朗さんは1-1/2C、五十嵐一生さんはジャルディネリ6M〜C。らしいです。
しかしエリックさんはビルチェイスモデル並の小さいマッピですが唇はあまり巻き込んでおらず、やわらかい部分で鳴らしていると本人が言っていました。
通常、赤い部分がリムに乗っている状態で(ただ、エリックさんの場合リムから外側には出ていませんが)吹くと耐久力が異常に無いと思います。僕はそれで奏法を変えました。しかし、エリックさんは小さいカップでリムが厚いのをつかうことでハイトーンと耐久力を維持しているのかもしれません。
エリック氏に言わせると、「大きいカップで太いハイトーンは物理的に無理」なんだそうです。(M氏談)

やろうとするジャンルや出したい音色、使う楽器で決めるのがいいのではないかとボクは最近感じています。
気に入ったマウスピースがあれば、あまりあせって判断せずに、一月か二月使ってみて判断するといいそうです。

かなり長くなりましたが、ボクもここ1年くらい相当悩みました。
しかしあまりアンブシャーや奏法に神経質にならずに、良い「イメージ」を持ちつづけることが一番大切だとほとんどのプロがおっしゃっていました。

あせらず冷静に自分を見つめることが大切なんですよね。
お互いがんばりましょうっ。