re:もう一つ質問が・・・各コードの純正調での音程は〜・・・  #20662
投稿者: やちまう (2003/08/16 21:34)

ミンチ さん wrote in article #20654 (適宜改行してます)
> 純正調でメジャーとマイナーの音程(何セント上下させるか)は分かるのですが、
> 7th・9th・dim・aug・7sus4(他にもまだありますが)・・・・・・等々は
> どうなっているのでしょうか???

これは何というか、パンドラの箱のような気がします…(^_^;)
前もって述べておきますが、疑問に対する回答ではありませんのでご了承ください。

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純正率というものは響きを作るためには有効ですが、機能面では制約があります。
一方、平均率は波長の整数比によらないので近似的な音程でしかありませんが、
機能性に関してはとても優れています。

音楽の「語彙」がここまで増えたのは平均率のおかげだと思います。しかしながら、
純正率の響きを捨てることは勿体ないわけでして…。

結局、どちらで振る舞うかはケースバイケースだと思うのです。

喩えとしては変ですが…
調性がハッキリした曲を歌う場合は「移動ド」の方が便利で、且つ機能的ですが、
頻繁に転調したり無調だったりする曲を歌う場合は「固定ド」の方が便利です。

「純正率・平均率にしても然り」ではないでしょうか?

純正率に於いて、その響きの美しさ(?)はその整数比の単純さにあります。
(倍音列の整数比から求めているのですから当然ですが…)

ex) 振動の整数比を「元の音:上の音」として
1:1=完全1度(ユニゾン)…平均率純正率とも0セント=補正不必要
1:2=完全8度(オクターブ)…平均率純正率とも1200セント=補正不必要
2:3=完全5度…平均率700セント・純正率702セント=補正効果薄
3:4=完全4度…平均率500セント・純正率498セント=補正効果薄
4:5=長3度…平均率400セント・純正率386セント=補正効果大
5:6=短3度…平均率300セント・純正率316セント=補正効果大
5:8=短6度(長3度を展開)…平均率800セント・純正率814セント=効果大
3:5=長6度(短3度を展開)…平均率900セント・純正率884セント=効果大

単純な整数比で表せない不協和な音程まで、純正調で演奏しなければならないほど、
音楽は数学的なものでしょうか?また、何セントの違いというのを数学的に正確に
楽器で表現しなければいけない厳格なものなのでしょうか?…だとしたら異名同音
(エンハーモニック)は存在しないことになり、関係調以外の転調は不可能です。

また、7th(属七)和音の7度の音程を響きが良くなる自然7度※でとってしまうと、
和音としての協和性は高まりますが属七としての和音の機能を失ってしまいます。
機能的和声を無視してまで純正率にこだわるべきなのでしょうか?
属七はその短7度の音が不協和で解決を求めようとすることに意味があるのですが。

※自然7度とは、基音の自然倍音の7倍音を2オクターブ低くしたもの。
 4:7=自然7度(短7度)…969セント
 純正率では不協和扱いの9:16…1017セント
 平均率…1000セント

実践的に考えればナンセンスだということが分かります。

その単独の和音だけで考えるのではなく、機能的な和声の流れとしてとして気持ちの
良い音程に嵌ろうとする(歩み寄ろうとする)意識の方が大切だと思います。そして、
不完全協和音程※※のみ純正率を《そのヒントとして》用いるのが効果的と考えます。

※※「不完全協和」とは楽典的区分です。
 絶対協和音程(区分としては完全協和音程)=完全1度・完全8度
 完全協和音程=完全4度・完全5度
 不完全協和音程=長3度(短6度)・短3度(長6度)
 不協和音程=上記以外

異論はあると思いますが…
基本的には平均率で良いのではないでしょうか。あとは必要に応じて純正率にスイッチ
させれば良いと思います。

しかし…

頭の中で歌って耳で聴き、その誤差を演奏にフィードバックさせる。
結局これに尽きます。

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以上、恐ろしく長くなりましたが、ご参考までに。
私が正しいことを書いているとは限りません…(^_^ゞ

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やちまう
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