re:質問があります。  #21851
投稿者: TOTANPET (2004/01/10 10:27)

tkyさんの投稿を興味深く拝見しました。
舌の位置の理論は、初心者の方々にとって、なかなか意識が行かない部分で、その意識抜きにやっていると、遠回りしてしまう。息の量とかアンブシャの外見とかは皆が言うことなので、誰しも先に何とかしようと気をつけるのに、舌のことはあまり意識がいかないので、高い音が出ない、音が響かない、大きな音が出ない、と長いこと悩み続けることになる。だから、ある程度わかりやすい結論を出しておいたほうが良いと思います。

わたしは、別のところでも言ってきましたが、口笛の要領、その舌のポジション取りのやり方は、トランペットにも応用できそうだと思うのです。トランペットは、拡声器だからどんな唇の振動でも増幅してくれるので、口の中を意識しないでも音が出てしまう。でも、大きい音、響きのいい音を出すためには、唇の後ろにある共鳴箱を旨くコントロールすることが必要。だから、口笛を吹いて自分で舌の位置取りを確認しましょう、私の趣旨はそういうことです。

pictoさんから紹介のあったパイパースの記事も読ませていただきましたが、
竹浦泰次朗(金管クリニシャン)曰く、
スーパーチョップスでは「舌の先は下唇に軽く触れた状態にする」「これは譲れないポイントなんです。一言でいうと、それ以外のポジションをとると息の圧力は逃げてしまう」と、つまりtkyさんのおっしゃる下歯の裏を舌の常駐位置だと言っている。そしてこうも言っている。竹浦氏「じゃあ舌のポジションはどうなっているのかと聞かれた場合、僕は『口笛を吹くように』と説明します。」「口笛で音を上げる時は、舌の先端を軸にして舌が前にいくような感じで盛り上がります。演奏時の舌のポジションもまさにこれで、舌はまず、舌先が下唇に軽く触れたリラックスした状態にある。音が上がる時は、舌の先端を軸に前に盛り上がる。」
舌の位置を意識しながら口笛を吹いてみると判るのですが、高音を発音するとき、舌先は下歯の裏で息圧を上げるための舌の上下運動の支点になっている。ただ、中音から低音、最低音になるにつれて、少しずつ後ずさりし、最低音の時(私の場合、下2間のH辺りです)には完全に喉のほうに引っ込んでしまっている。(皆さんそうなってませんか?)何のためにそうなるかと言うと、低音を吹くには息圧を下げる必要がある。しかも、息圧を下げるだけなら口笛の発音をしようとしている口先に十分な息の流量が行かないから、息の送り出しを増やしてやる必要がある。と同時に、口腔内の容量を増やして音の共鳴を促す必要がある。そうしないと口笛が発音できない。最低音の場合、私の言う共鳴箱を最大にしないと最低音は発音できない。
竹浦氏の仮説によると、「音の高低は息の圧力、音量は息の流量の大小で決まる、ということ。もう一つは、息の圧力は舌のポジションでコントロールされ、そのポジションは各音に対してデジタル的に固有のポジションを持つ」と言っていますが、この仮説の当否はともかく、高音発音時に舌先を下歯の裏に持っていくのは、息圧を上げるためであって、トリプルタンギングやダブルタンギングをする備えのためではありません。
わたしがこの説明にこだわるのは、初心者が迷路に迷い込んでしまうような気がしたのです。竹浦氏の言う、口笛の際の舌のポジションをトランペットにも応用するなら、高音でも最低音でも舌先は下歯の裏にあるべしという説明には無理があります。『練習を積めば通常音域と同じクオリティーにすることが可能』と言っても、何のためにそんな訓練するの? という疑問しか残りません。ペダルの練習は、曲の中で通常音域と同等に使える音にする練習ではありません。息の流量と息圧の調整のコツを覚えるための練習でしょう。

最後に、この記事を読まれた初心者の方々に申し上げておきます。
あまりペダルトーンが吹けないことに悩む必要はありません。大きな音、豊かで響きのある音を出すためには舌の位置、使い方を意識することが大切です。ペダルが吹けないから、舌の使い方がマスターできないわけでもありません。いい響きの音を出すには、響きのいい音のイメージを持つことが大切です。そのイメージがあれば工夫してそれに近づいていく努力が出来ます。先に舌のポジションが決まっているのではないので、それだけは誤解しないようにしてください。