re:教えてください!!
#22514
投稿者:
やちまう (2004/04/02 01:04)
はやと さん wrote in article #22497 > 1.マウスピースで少し音を鳴らしています。 > 2.はい。毎日3回はロングトーンの練習をします。 > 3.教則本は持っていません。 > 4.高い音を出す事が苦手です。 > 5.ポップス系の曲が吹けるようになりたいです。 せっかく質問に答えて頂いたので、簡単にですがアドバイスしておきます。 §1 マウスピース まず、一日の最初にマウスピースを吹くということですが、自分なりの目的を持って 吹いていますか? それが「ただ、何となく…」ということでしたら、あまりそれは 役に立たないばかりではなく、逆効果の場合もあります。 マウスピースはトランペットを吹く為の単なる準備段階です。マウスピースから出て くる音よりも感触を重視して吹いた方が良いと思います。 最初は唇に、続いて体全体に対して「これからトランペットを吹くぞ」と伝える程度 の時間で良いです。音程に関しては何の音を出すという物ではなく、五線の中の音の どれかが鳴れば良いという感覚で始めます。 「音のブレ」が少なくなってきたら(ピントが合い始めたら)、出ている音から下へ、 また上へと無理のない程度にポルタメント(なめらかにつなげる)で音程を変化させ、 音域の幅を少し拡げます。それと同時に自分なりにその日の調子をチェックします。 例)最初に出た音が「ファ」だとしたら… 下に向かって音域を拡げる ・ファ↓ミ↑ファ ・ファ↓レ↑ファ ・ファ↓ド↑ファ 上に向かって音域を拡げる ・ファ↑ソ↓ファ ・ファ↑ラ↓ファ ・ファ↑ド↓ファ 下へ、そして上へ ・ファ↓ミ↑ファ↑ソ↓ファ… ・ファ↓ド↑ファ↑ド↓ファ… ※音程を変化させた時に音が途絶えない様にします。 §2 ロングトーン 音をただ長くまっすぐ伸ばせばよいと思われがちですが、それでは時間の無駄です。 音の出だし(アタック)に注意したり、音の終わり(処理)に注意したり、また、 ピアニッシモから始めてクレッシェンドしてフォルテに至り、デクレッシェンドして またピアニッシモに戻るという練習(※2)も効果的です。 ※2 声楽の世界で「メッザ・ディ・ヴォーチェ(mezza di voce)」と呼ばれている 練習方法です。 また、同じ音を伸ばすだけではなく、チコヴィッツ・パターンなどを取り入れても 良いと思います。 ▼チコヴィッツ・パターン(「A4縦」で印刷して下さい) http://www.din.or.jp/~ymch/trp/follow/longtone.html §3 教則本 何もお持ちでないとの事ですので、代表的なものを2つ推薦しておきます。 《アーバン金管教本》第1巻 全音楽譜出版社 ISBN4-11-548211-7 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4115482117/ref=pd_sims_dp__1/250-7729731-4755457 Herbert L. Clarke《Technical Studies》 Carl Fischer, Inc. §4 音域 高い音と一口に言っても様々です。加線が常に4本以上ある様な特殊な場合を除き、 一般的には実用音域をこなせれば不自由はないと思います。実用音域という定義は 結構あやふやかもしれませんが… 「加線下3本のファ#」= E(0) 〜 「加線上3本のミ」= D(+3) …がコンスタントに出せれば充分でしょう。(充分すぎるかも…) ロングローンの項で掲げたチコヴィッツ・パターンが全段こなせればそれだけでも 良い様な気がします。もし、そこまで出せないとしても気にすることはありません。 音域という物は一朝一夕で拡がるものではありませんから、気長にそして根気よく さらに自分なりに工夫して練習を重ね、コツを得るしかない様に思います。 §5 ジャンル 「トランペットの奏法というものにはジャンルの壁がない」と私は思っています。 要求された音を要求通りに吹く…全てはこれに尽きます。 普段の活動がオーケストラだからといって、オーケストラで要求される音だけを 練習すれば良いというものではないと思います。勿論、それ以外の場合も然り。 そもそもトランペットよりも先に音楽があるべきです。 音楽の流れの中にトランペットを持った自分の身を置き、曲のノリを壊すことなく、 そしてさりげなく主張できれば目的の半分を達成したと言っても良いでしょう。 もし、ポップス系の曲を吹きたいのでしたらポップス系の曲を聴き込んで下さい。 自分の好きな分野(得意な分野)を持つことは、上達のためのモチベーションに なります。動機やきっかけのない練習では退屈しますよね? そして、ポップスのノリが分かったら、それ以外のジャンルにも目を向けてみて 下さい。表現の幅(パレット)はジャンルで分別出来るほど簡単なものではない ことに気付き、さらにトランペットの楽しさや、そして奥の深さを感じることが 出来ると思います。 §おまけ はやと さん wrote in article #22497 > あと具体的にはきれいな音が出せないのですが、 > ロングトーンの練習を続ければ出るようになりますか? 『自分が出したい音がどんな音なのか。』 それを練習中に常に自問自答してください。その答はなかなか見出せないかも しれませんが、それでよいのです。とにかく悩んで下さい。何をもって美しい とするか――それは言葉で片付けられるほど簡単な事ではありません。 理想という物は常に今の自分の居場所よりも高い次元にあります。 これは音色だけの問題ではありません。 頑張って下さいね。 -- やちまう ymch@din.or.jp http://www.din.or.jp/~ymch/trp/ |