re:歯の噛み合わせ(長文)  #22622
投稿者: けし (2004/04/16 01:25)

けしといいます。歯医者で、TPはアマチュアでサルサなどをやってます。
根本先生の本も読みましたし、本人にもお会いしたことがあります。
さて、僕本人は根本先生のような仕事はしておりませんので、自分の奏法による考察と、奏者でない一般の患者さんの口の中を毎日診ている経験から述べさせていただきます。すんません長文になってしまいました。

1)ミンチさんは顎を出すべきか
 結論から言えば、一度やってみたらいいと思います。上手くいかなかったり、顎の関節に症状が出たらその時点で止めればいいことです。ただ、楽器を上に向けていくとして、その目標が床と平行になるまでというのは根拠がないし、ちょっとやりすぎかもしれないと思います。
 僕自身も上の前歯が下の前歯に被さるタイプでして、ちょっと前までは顎を少し前に出して吹いていました。そうしないと上唇の振動ポイントが内側にきてしまうんですよね。そこで下顎を少し出すと跳躍やタンギングが楽になりました。顎関節症にはなりませんでしたが、長く吹くと顎をの周りの筋肉が(外側翼突筋か?)疲れるようで、むしろ耐久力には問題があったと思います。今は下の前歯にプラスチックのアダプターをつけて吹いています。顎のだるさはなくなり、音の跳躍が楽になりましたが、唇の振動が少し制限されているような感じもあり、一長一短です。マウスピース選びと似ています。
 
2)日本人の歯並びはトランペットに向かないか?について
 一言で日本人の歯並びといいますが、個人差がかなりあります。上下の前歯が前後的にそろった人も少なからずいますし、反対に下の前歯が上より出ているいわゆる受け口の人もいます。上の前歯が出ている状態でも前後的な関係や上下的にどれだけ被さっているかも人それぞれです。外国人の人を診る頻度が少ないのでそちらとの比較はあえてしません。統計的にみたら欧米人と日本人との差に有意差は出るかもしれないけれども、結構その分布は重なり合っているのではないかと思うのです。人種差より個人差のほうが大きいので、日本人であることで何かを結論付けててしまうのは早いと思います。。

3)歯並びによる有利不利があるか?
僕も個人的には上の前歯が下の前歯に大きく被さっているタイプです。しかも下の前歯は少しねじれて生えているため、少し歯並びが悪くなっています。知人のプロのハイノートヒッターは前歯が短く比較的上下の歯が前後的にそろった並び方なので、そういうのをみるとああいうのがいいのかなあとおもうときもあります。逆にクラシックのプロの方で上下ともガタガタした歯並びの方も知っています。どちらにしてもサンプル数が少なすぎて結論は出せません。ただ、アダプターをつけてみてわかったのは、やはり歯並びが変わることで吹奏感はかなり変わるということです。バックの1番をジェットトーンにかえるくらいのインパクトはあります。やはり恵まれた人とそうでもない人の差は歴然とあると思います。だから奏法アドバイスみたいなものが成立するのか?という疑問もわきます。つまり歯並びが違うとラッパを吹くという感覚が全く違っているかもしれないので。でもどういう歯並びが良くてどういうのが悪いかというのはやはりひとことで結論は出ない問題であると考えます。

4)日本人は口蓋が深いのか?
 うめさんのメッセージに「日本人は口蓋が高い」ような内容がありましたが、出典についてご存知でしたら教えていただけないでしょうか?ちなみに根本先生の著書には逆に「日本人は口蓋が低い」という記述があります。これも出典は定かではありません。これについても、かなり個人差があります。僕も少し口蓋が高い傾向がありまして、このためダブルタンギングやトリプルタンギングが難しいのではないかと思っております。口蓋の高さの人種差について昔、文献をあたってみようとしたこともあるのですが、結局見つかりませんでした。また口蓋の高低による有利不利も、逆に根本先生の本では高いほうがよく響くような記述もあり、よくわかりません。