re:粘膜奏法  #24375
投稿者: サイトウ (2004/11/29 20:14)

少し理解が違うような気がします。
発声方法が悪いから,粘膜奏法にならざるを得ないのではなく,粘膜で吹いていると,口腔内の状態や喉の状態が必然的に地声で発声しているときのような状態になって,音質や音のコントロールに悪い影響が出るので,粘膜で吹くのをやめましょう,と言うことなのだろうと思います。だから声楽的な発声練習からラッパの奏法を直していくと言う考え方ではないと思います。
私の最近の吹き方の変遷で言えば,5年以前は完全な粘膜吹きで,高い音では,きつくプレスし,音程は上ずり,音質も細くて響きの悪いものでした。最高音もハイD辺りまでで,そこから上は未知の世界でした。ひょんなことから上下の唇を少し巻き加減にセットして,プレスせず,上下の唇を締め付けず,いわゆるファルセットで高音域を発音するようにすると,高音域はダブルハイB♭にまで一気に拡大し,ハイB♭付近の通常の最高音はあまり力まずに発音できるようになりました。そうなってみて気がついたのですが,力んで高い音を出していたときに比べて,口の中や喉の状態が歌を歌っているときの状態に近くなり,合奏しているときの音楽の歌い方が違ってきたのです。
この歌うような吹き方が出来るようになって,一番大きかったのは楽器との一体感が出来てきたことだと思います。ラッパが自分の声の延長線上にあるもののように感じられてきて,実際音を外すことが不思議なほど減りました。高い音を本番で一発当てる恐怖がほとんど無くなりました。今までの舌とプレスと息で細工して当てに行く感覚とは全然違います。
人によってやり方はいろいろでしょうが,要するに粘膜奏法を脱却できれば一気にいろいろな問題が解決していく方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
但し,粘膜奏法の脱却ですべてが得られるわけではなく,例えば唇,特に上唇の柔らかさをキープする感覚はとても微妙なもので,誰かに口で教えてもらって直ぐにできるものではないような気もします。何せ今まで体に染み付いている力んだ吹き方があるわけですから。
振動成分と響き成分,発声方法とラッパの発音の関係は,一度藤井完さんのHPを読んで見られると良いと思います。