re:いきなりHIGHBについて、斉藤さんへ  #25554
投稿者: サイトウ (2005/07/03 20:03)

「いきなりハイB♭」という手法は,皮膚振動(粘膜ではない)で吹くと唇周りの筋肉の緊張やマウスピースのプレスが無くてもダブルハイの音域が案外簡単に出せてしまったこと,加えて藤井完氏が言われる「ベルヌーイ効果による自励的振動」をトランペット奏法で体感できたこと,それと閉じたアンブシャが必然的に口腔内から喉にかけての「歌うように吹く」ためのシステムを作っていく過程を経験したこと,このような私の実体験を踏まえてご紹介させていただいたものです。
そこでsatoshiさんのご質問についてですが,「D+2より下の音が出ない」のは実は私も同じでした。D+2だったかどうかは別として,要するに「低い音が出にくい」のは同じでした。でも,その問題は私の場合直ぐに解決しました。恐らく上唇の柔軟性を確保すること,それと「低い声で歌うように吹く」コツを身に付けること。そのようなことで解決して行ったのだろうと記憶しています。
ただ,お断りしておきたいのですが,私の場合「いきなりハイB♭」は,ウォーミングアップの手順の一つとして今でもやっているのですが,高い音に心と体が硬直しないように体の感覚を呼び覚ます(または力を抜いた吹き方を身に付ける)手段なのであって,決してこの吹き方ですべて通しているわけではありません。トランペットの発音練習にとって一番大切なのは,体に楽な吹き方を覚えこませること,これに尽きるのではないでしょうか。「いきなりハイB♭」は,声楽で言うファルセット(裏声)をラッパでやろうとするもので,全ての音域をファルセットで吹こうとすると無理があるのです。
もう一つのご質問の「音の質がペラペラ」なのも同じでした。でもこれは息の量を少し増やしてやる,それと「歌うように吹く」口から喉のしくみを身に付けることで解決できるのではないでしょうか。
要するに,いいやり方を意識して吹いていれば,自然に体が響きの良い鳴らし方を覚えていくような気がいたします。