re:初歩的なコードを教えて下さい  #25580
投稿者: やちまう (2005/07/14 05:44)

コードネームを理解するにはまず音階を理解している事が前提となります。

基本的な音階が5つあることはご存知ですよね?

 ・長音階
 ・自然短音階
 ・旋律的短音階(上行形)
 ・旋律的短音階(下降形)
 ・和声的短音階
(もちろん他にも沢山あります。)

これらの中で、和音を構成する基礎になる音階はたったの二つです。

 ・長音階
 ・和声的短音階

その構成音は…

▼長音階
 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ

▼和声的短音階
 ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ#

…です。

次に音程の数え方ですが、数え始めの音も含めて勘定します。ですから、同じ高さなら1度、隣なら2度になります。

次に《完全・長・短・増・減》ですが、楽典の世界ではその音程が《協和》か《不協和》かという尺度で単位付けを行なっています。《協和》音程はさらに《完全協和》と《不完全協和》に分けられています。(完全協和はさらに分類されますが紛らわしくなるので割愛します。詳しくは→http://trp.ymch.jp/trp/data/20662.html

ここで、和音を構成する基礎になる音階の構成音を思い出して下さい。

 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
 ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ#

「ド⇔ド」と「ラ⇔ラ」は同じ音ですのでいうまでもなく《完全協和》ですが、音階の開始音から測ると同じ距離にある度数が二つありますね。(ド⇔ファ|ラ⇔レ)(ド⇔ソ|ラ⇔ミ)
これらも《完全協和》として扱われます。
一方、和音といえばその基本は3度堆積(ドミソ・レファラ・ミソシ…)ですね。ではそれぞれの音階の開始音(ラ|ド)に3度堆積したドミソとラドミを考えて下さい。
長音階の最初の3度(ド⇔ミ)と短音階の最初の3度(ラ⇔ド)では半音の差がありますね。
広い方が長3度、狭い方が短3度です。和声学では3度とその転回形(下の音をオクターブ上にしたもの)の6度は不完全協和として扱います。不完全協和音程は便宜上、不協和と同類として区分されます。

故に…

∴完全音程
 減(♭) ← 完全 → 増(♯)

∴不完全協和・不協和
 減(♭) ← 短 ⇔ 長 → 増(♯)

…となります。

本題のコードネームですが、これは《機能和声》をさらに合理的に拡張したものです。

和声学では、音階の構成音の上に3度堆積を二回(ドミソ・レファラ・ミソシ…)して、それらをローマ数字で、I・II・III・IV・V・VI・VIIの和音という呼び方をします。

音階を基に3度堆積による3つの音によって構成される和音は…実は4種類しかないのです!

▼長三和音
 長調:I・IV・V
 短調:V・VI
(ヒヨココロコロと覚えましょう…これは基本)

▼短三和音
 長調:II・III・VI
 短調:I・IV

▼増三和音
 長調:なし
 短調:III

▼減三和音
 長調:VII
 短調:II・VII
(そんなもん覚えてナンニナルと覚えましょう。)

機能和声ではその基本進行というものが厳格に決められています。
・トニカ(T)=I
・ドミナント(D)=V
・サブドミナント(S)=IV

以上3つを主要三和音といいます。これが和声全ての基本です。これら以外の和音はその代用和音として用いられます。(例えば、IIの第1転回形ファラレはサブドミナントとして度々用いられます。)

和声学では…

 T→S
 S→T
 T→D
 D→T
 S→D

…の和音進行のみ許されています。つまり…「S→T←D」という構図になります。(勿論、現在は違いますよ。)

その中で特に「D→T」の場合はドミナント機能を高めるために下降導音として働く7度の音を加えることが通例となりました。これが属七と呼ばれる和音です。(ソ・シ・レ・ファ)(ミ・ソ#・シ・レ)
これはV7と書きます。(7は小さく右下に添えて書きます。)

属七の和音はたびたび根音省略の形で用いられたりします。そうなると「シ・レ・ファ」ですから、もはや減三和音になってしまいます。この状態に♭9(ラ♭)の音を加える(シ・レ・ファ・ラ♭)と強烈で、ドミナントとしての機能がさらに高まったりします。同様に短調のVIIも7度の音を伴って(ソ#・シ・レ・ファ)多用されます。これを減七の和音と言います。コードネームでいう所のdim7です。これはモーツァルトの時代にすでに行われていたことです。長調の場合、このV♭9(ソ・シ・レ・ファ・ラ♭)のラ♭の音をMollDur(モルドゥア=柔らかい長調)6thとして和声的長音階という概念が生まれたほどです。

減七の和音はかなり乱暴(?)で、もの凄く自由が利きます。半音進行も何のその!です。

ちなみに短調であるはずの調のドミナント(もしくはその代用和音)から長調に解決してしまうことを「ピカルディ終止(ピカルディ3度)」と言います。覚えておいても損はないはず。(これをやるとバロック風になります。)

# あ〜…酔っぱらいながら居酒屋で携帯で書く文章じゃないな…(^_^;)
# 多分、誤字脱字+勘違いのオンパレードです。
# 識者の訂正を切に望む…

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やちまう
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