バテについて  #26252
投稿者: yabanpet (2006/01/28 03:04)

 トランペットの練習の際に必ずぶち当たるものに「バテ」がある。吹き続けることで唇がうっ血してくるのだ。そして,一度そうなってしまえば休憩をとっても,今度は過度の充血状態となり,はれぼったい感じになる。こうなってしまうとリードとしての唇の働きは失われ,コントロールの聞かない状態になってしまう。
 プロ奏者も,もちろんばてるが,しかしながらそのバテと上手く付き合うことで,一定のコンディションを保っているのではないだろうか。すなわち,ばてる直前で楽器を置くということだ。ベルリンフィルのトランペット奏者,タマーシュ=ヴャレンツェイは,「楽器が一番鳴ってきたところで,楽器を置くのがよい」と言う。調子よく楽器が鳴っているとどうしてもバテの限界まで行き着いてしまいやすいからだ。
 バテの原因の要素のひとつにウォーミングアップの方法がある。いい加減にウォーミングアップをしてしまうとバテが訪れるのは早くなるだろう。ウォーミングアップメソードで有名なスタンプ(Stamp,J)はウォーミングアップにペダルトーンを用いることを推奨している。バテはいずれ訪れるものだが,トランペット奏者のH氏は「毎日の練習で必ず最後はバテが来るぐらいまでやる。そしてばててしまったと感じたら決してもうそれ以上練習はしない」と述べている。
 適切なウォーミングアップ(Wup)の後は,基礎的な練習を行い,今の自分にとって最も必要な練習をする必要があるということが言える。なぜなら,Wupの後は一日の練習史の中でもっとも調子が保全されている時間であり,そのときが自分の実力の最大に近い部分であると言えるからだ。Wupの後はとかく,今自分にとって同でもよいものを吹き鳴らしてしまいがちだが,ばててからアーバンをさらっても全く上手くいかない。そうではなくて,適切な部分でWupを切り上げた後,基礎的な練習ができるような練習計画を立てることが,バテと上手く付き合いながら上達する方法なのではないかと考えられる。


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