初心者の「楽しみ」  #27725
投稿者: 雨戸 (2007/07/27 17:48)

えー、こんばんは、馬鹿ばなしでございます。
御用とお急ぎでない方はどうぞお付き合いのほどを、、てんてんてん、、。

いつの世でも初心者というやつは困ったものでぇ、ぉなじ回り道を繰り返すようにできている。

「熊さん、ラッパを始めたんだってねぇ」

「えぇ、ご隠居さん、それがねぇ、からっきし思うようにぃかねぇんで。
わけぇときに教習受けたのとおんなじでさぁ」

「お前さんは、確か27の時に車の免許取ったんだったねぇ。」

「えぇ、今でも実技の初日をおもいだすと、ひやあせがタラーですよぉ。

車のからくりも、どこをどう押すとどうなるかも知ってんですよ。
おれは、もう運転できるって、、。
ところがどっこい、はじめてくるまが転がり出したら、もう目の前をみるので精一杯、
命からがら直線コースにたどりついたら、となりの『教官』てぇこわそうな奴が、
『40キロまであげろ』
「へいっ」、、て、スピードメータはどこだ、とさがしてると、、、
『おい、右へよってきたぞ!』
「へっ」、って顔をあげたら、センターラインをまたいでるじゃないですか、
「ハンドル、ハンドル」って、左へ戻ったら、
『スピード落ちたぞ、アクセル踏めぇ!』
「へいっ!」って思いっきり踏んじゃったんですよぉ。 そしたら、、
ガクン、、、プスン。。
「へっ」???
『あほっ、、ブレーキだ、、それわぁ』
ってねぇ。」

「それと、ラッパがどうおんなじなんだい?」

「立ちかたも、楽器のかまえもよしっ、のどを開いて、大きく息を吸って、
音色もはっきりイメージできている、、ここまではいいんですよぉ」

「で、吹き始めたらどうなるんだい?」

「あれっ、なんかブスブスいってらぁ、唇がヘンなのかなぁ、もっとしめたら、
あ、鳴った鳴った!、あ、消えた、あ、鳴った、あれっ、ひびきが消えたぞっ、、
なんてやっててぇ、ハッと気がつくと、ひじは下がっているし、息は吸ってないし、
のどは絞まっているし、
これのくりかえしで、、いまだに唇がひりひりしてまさぁ」

「まぁ、それはハシカと似てなぁ、初めてやるときは多かれ少なかれ、誰でも罹るもんだ。」

「そんなぁ、つめてぇじゃねぇですかぃ、ご隠居さんとおいらの仲じゃねぇですかぃ、
どしたらいぃかぁ、ちょこっとでいぃですから、おしえておくんなさいよぉ。」

「しかたがないねぇ熊さんは、いいかい、ラッパの『教官』はお前さんなんだよ。
お前さんの中に居て、『もっといい音出せ!』って煽っているんだよ、
お前はセンセイに弱いから、なんとか音を出そうと必死になるだろう。」

「よく、おわかりで」

「だから、すぐに音が出そうな唇とかに気持ちが集まってしまって、他はほったらかしに
なっちまうんじゃないかい。」

「ほったらかしでしたぁ」

「今度おさらいする時はねぇ、『教官』の言うことは放っておけばいいんだよ。
何を言っていてもかまわないから、いわせておけばいい。」

「それじゃ、なーんにもかわりゃしねぇじゃねえですかぃ」

「いいや、吹きながらね、お前さんは、自分の体の中を静かーに見るんだ、
足の底から、頭の天辺まで、ただ見るんだよ。
耳から入ってくる音もただ聞くんだよ、
こうしようとか、これじゃだめだとか、こうなっているなとか考えちゃだめだよ、
考えると心が騒がしくなるから、全身全霊でみるんだよ。
考えるのは、後からでいい。
息の仕方とかそういった練習は、それぞれにまじめにやるんだよ、
いい音楽もたくさん聞いたらいい、
ただ、吹いている瞬間は、考えちゃだめだ。」

「ごいんきょさん」

「ん、なんだい?」

「少しは、考えたほうがいいじゃないですかぃ。キセルの火が消えてますよぉ」

「ごほ、ごほっ!」


だれですか、「馬鹿ばなし」を最後まで読んじゃったのは?

おあとがよろしいようで、、てんてんてん、、、、、、。




とらんべったぁ、雨戸亭駄目助 でした