re:上唇と下唇  #27910
投稿者: やちまう (2007/08/26 19:04)

eigenvalue さん wrote in article #27892
> > それとは逆の…
> > 「下唇の位置に上唇が迎えに行く」には無理があります。
> > 何しろ、上顎は動かないのですから。
> >
> > 下唇を上唇が迎えに行くと、結果として上唇のリラックスが失われます。
>
> とあります。そもそも何故(上、下唇いずれにしても)迎えに行く必要が
> あるのでしょうか? あと、これはデールの著書からの抜粋部分
>
> ”しかし、上唇の緊張度に対応して下唇を引きしめたり緊張させたりする
> としても、そのあいだけっして下あごが動く必要はない。下あごは常に一定
> の位置に固定されていなくてはならない。”
>
> とは相容れないということでしょうか? 

「迎えに行く」という感覚(そういう動きが実際に伴わないとしても)は、
吹奏中ではなくて、吹く直前のセッティングの際のアプローチの一つだと私は考えています。

吹いている最中にむやみやたらに下顎を動かしたら、多分、良いことは無いし無駄でしょう。

デール氏の記述は、“せっかくベストなコンディションにあるポジションを動かしたら勿体ない”
ということだと推察します。

また、氏の書には「ビブラートは手で行うのを推奨している」みたいなことも書いてありますね。

現代の奏法として、手で行うビブラートは普通じゃないと思います。氏の言わんとしているのは、
「音色を作る際に稼働している箇所は、それだけに専念させるべきであり、動かさない方が良い」
という意見でしょう。

確かにそれらも一理あります。
しかし、“動かさない”とか“固定”という言葉には語弊があります。

「動かさない・動く必要はない」
  ↓
「固定されていなくてはならない」
  ↓
「動いてはいけない」
  ↓
「動かしてはいけない」

…というような連想で、せっかく自由なものをガチガチに固めてしまう方が勿体ないです。
それこそ“無駄な努力”です。

「固定」から来る連想がもたらす「固着」は虚しい現象だと私は思います。

電車やバスなどに乗っていて、近くに掴まるものが無くて立っていなければならないとします。
このとき、膝を完全に伸ばしきった状態で突っ張ってしまっていたら、ほんの少しの揺れにすら
対処できなくなってしまいます。膝のバネは、すぐに曲げることができる柔軟な状態のときに
一番能力が発揮できるものですよね。

つまり、“動かさないけど、動かせる状態”という微妙なバランスの状態がベターではないかな、と。
それこそが“リラックス”だったり“柔軟性”だったりするように思いますが…。

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やちまう
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