ドイツ管2  #4428
投稿者:  ロータリーTrp1号 (99/09/18 12:39)

 現在、ロータリーTrpとピストンTrpは音色がはっきり異なり、その特徴をそれぞれ生かすためには、マウスピースはもちろんアンブシュアなどの奏法も変えるべきだと言われます。2種類を使い分けるときは色々気を使わないと効果が得られないかもしれません。
 もう一つ、ピストン式も楽器により個性があり、特にモネットなどは形からして他のメーカーとは全然違います。(吹いたことありませんが。)でも、ロータリーはメーカーによってピストン以上に違うと言っていいと思います。ほんとに一つ一つ個性的です。吉田太美男氏によると3つに大別(モンケタイプ、ヘッケルタイプ、その中間)できるとか。私もそう思います。オケや奏者によっても好みが違います。有名どころでは、ベルリンフィルとウィーンフィルでしょうが、1980年代初期頃までは、2つの団体はベルリンがモンケ、ウィーンがヘッケルやその系統の楽器(ヤマハのウィーンモデルなど)や、レヒナー(中間タイプだが少しヘッケルよりか)など、と違っておりました。音色も違います。CDなどをよく聴いてみて下さい。最近は、どちらもレヒナーが多くなっており(ウィーンはほとんど全員、ベルリンは1番奏者など)、それでも目指すものが違うように思います。同じレヒナーと言っても細かい仕様が少し異なるようですが、同じメーカーで違う音を目指しているわけです。
 同じメーカーで異なるモデルと言えば、ヤマハのドイツモデル(モンケタイプ)とウィーンモデル(ヘッケルタイプ)が代表的でしょう。モンケとヘッケルは、言わばドイツ管の対極に位置するモデルあり、ヤマハの2つのモデルはそうした個性をはっきりと発揮できる優れたものです。一言で両タイプの特徴を説明することは難しいですが、ベルリンの方がより大きな力強い音が求められ、ウィーンはよりエレガントで貴族的の音が求められると言ったところでしょうか。ですから、音色的にはモンケは前者のような、音が、ヘッケルは後者のような音が出ると言えるかもしれません。他に、M.シュミットやマイスターが亡くなって生産中止されたR.アダチなどにこの両極のモデルが両方ともあります。最近のウィーンは金管の顔ぶれが変わり、ラッパなど非常に安定しており、近代的です。主席のハンス・ペーター・シューなど吹きまくる感じ。最近、金管は両方のオケが似てきた感じです。これはベルリンがウィーンに近づいたと言うより、ウィーンがインターナショナル化してきたせいじゃないかと思ってます。当然ラッパの音も変わってきてます。昔のウイーンフィルの方が、言い意味でも、悪い意味でも音楽の都である田舎のウイーンを代表していたように思います。
 こうしたドイツ圏のオケや、奏者を色々聴き、目指す音をつかむことが必要です。また、楽器店に行ったりして、いろいろなメーカーの楽器を試奏すると、ロータリーのなんたるかが少しわかったような気になります。私の場合、基本的にはベルリンフィルの音を目指し、モンケタイプの楽器を使い、さらに我流ですが自分なりにそのような演奏ができるよう工夫しながら練習しております。でも、ウィーンになりきりたいときもあり、MPはおろか、楽器も変えてしまうことがあります。(アマチュアだからできることか。)
 ドイツ管の特徴を生かす奏法って、どんなのでしょうね。私自身は自分が思っているより全然ドイツ的でないかもしれないので、偉そうなことは言えません。ただ、息のスビード感が前面に出る奏法にはならないようにしてるかな。ピューンという感じでなく、たっぷりとした息で朗々と吹く感じ。某シカゴのハーセスなど、モンケに持ち替えてますが、ピストンとの違いがよくわからない。息がびゅんびゅん来るフォルテなので、あまりそれっぽく聞こえない気がするんですが、どうでしょう。あと、アタックなども違うと言われてますね。ドイツ語の特徴で、少し重めのアタックになるとか。でも、センスよく吹かなきゃならないのは、どこでも同じですから、我々としては、様々なアタックが必要に応じ使い分けられるべきでしょう。
 MPはウィーンを意識するときはかなり深めのものを使いますが、モンケタイプの時はピストンと共通で深めではありません。メーカーはヤマハ。ロータリーにはブレゼルマイヤーが良いと聴きますが、よくわかりません。
 ここ数年はほぼロータリーばかりですから、自然とそれにあった吹き方になってるかもしれません。少なくとも、自分でロータリーを吹いていて、やっぱロータリーのもんだわい、と思うことだけは間違いありません。
 長々と訳のわかんないことで申し訳ありませ。他の方がどんな風に思ったおられるのか、ぜひ私も知りたいですね。

p.s.
 <同じフレーズでも息が足りなかったり・・・>
  ドイツ管のメーカーはどこのをお使いですか?メーカーによりますが、モンケやモンケタイプは特に息が入る楽器で、その意味できついと思います。ですから、そのように感じるのは仕方がないこと。工夫して、効率よく息が使えるようにすることと、身体が慣れていく過程で、しっかり吹けるようになりますよ。あわてないでじっくりつきあって下さい。必ず良い結果が出るでしょう。N響の津堅さんは、N響ではピストンのC管主体だったんでしょうが、10年ほど前のドイツ留学中、1年間はロータリーのB管ばっかりで、きつかったけど音にのびが出てきたとおっしゃってました。
  
 <アクセントやsfを吹こうとすると反応が少し遅い気がするんです。> 
  これも楽器によります。ベルリンフィルの2番奏者、G.ヒルザーは以前はモンケオンリーでしたが、最近モンケとレヒナーを1曲の中で使い分け、ffではモンケ、音の立ち上がりが重視される場面では反応の良いレヒナーを使うようです。ただし、こんなことは何台もの楽器が必要で、普通はできません。
  反応の遅さはある意味でドイツ管の特徴でもあります。あるいはドイツ管の独特の抵抗感や、ピストンに比べると切れが悪く感じられる音色により、実際よりもより反応が鈍く思うのかもしれません。でも、切れが良すぎると音が前に行きすぎて演奏に思い入れが込められないという奏者もあり、その通りだと思います。つまり反応の鈍さだと思うことがかえって、ドイツ管独特の「重い音」あるいは「重い表現」につながるのではないでしょうか。(ほんとは、ドイツの奏者は軽やかにも吹けますけど。) 実際に演奏に困るほど反応が鈍ければ、それは訓練や工夫によって遅れないようにしなくてはならないですが。