re:トランペットの「ド」は何ヘルツの「ド」?  #4472
投稿者:  ロータリーTrp1号 (99/09/22 12:06)

 モンケさんに先を越されてしまいましたが、同じようなことを綴ります。
 通常チューニングの基準になるのは実音A=442Hzとかですよね。実音Aですから、イタリア語のRaの音です。ピアノや普通のフルートのラです。ドイツ語でA(アー)、英語でA(エイ)の音です。
 移調楽器であるラッパの場合、もっともポピュラーなB(べー:ドイツ語。英語ならBb=ビーフラット)管では、ドの音は実音B(ドイツ語、英語ならBb)の音で、つまり実音がシのbになります。このとき実音Aはシの音になりますよね。
 C管のラッパならばAはラ、D管ならAはソ、hochAのピッコロTrpならAは低いドになります。
 と、ここまではあえてご存知のことを偉そうに書きましたが、ご気分を害されましたら平にご容赦下さい。
 さて、続けますが、B管のラッパは、国内使用の場合、チューニングスライドを2cmほど抜いて、A=442位にセッティングされていると思います。(気温にもよります、個人差や奏法の差もあります。あくまで目安です。)つまり、チューニングスライドを2cm抜いたB管で、実音A、つまりB管のシの音を出すと、音叉のA=440Hzあたりの音がでるわけです。
 例えば、A=440HzにチューニングしたB管のラッパでは、平均律ではB(=Bb)は440×(2の1/12乗)= 466.16Hzになります。純正調ならば、和音構成の中で、Bが和音中の何音かにより、平均律の466Hzより高めになったり、低めになったりしますよね。平均律に調整されたピアノの場合、純正調による完璧な和音は作れないのは、こうした音を低め、高めに自在にコントロールできないからです。ところが、管楽器や弦楽器の場合、この音程のコントロールが可能なので、完璧なハーモニーをつくることが可能(なはず)です。でも、この音程がコントロールできることがくせ者です。
 音程がコントロールできるということは、音程が安定しないということです。仮にチューニングがきちんとなされていたとしても、吹き方によって、めちゃくちゃな音程になります。また、この音程をきちんと取ることは、それぞれの奏者にとって、それぞれのレベルに応じ(アマはアマなりに、プロはプロレベルで)永遠の課題だと言っていいわけです。さらに楽器の構造上、理論的には、完璧な音程の楽器はあり得ません。(私なりに、ラッパの管の長さなどをシロート計算してみたことがあります。)ですから、失礼ながら、もし、鈍速の奇行師さんのラッパのキャリアや練習状態が不十分だとするなら、あなたの楽器の演奏が、あなたの耳に全然追いついてないと言えます。極端に言えば、ドの音を吹いたつもりが、シ位の音程になっていることもあり得るはずです。ですから、よけいに混乱されたんではないかと思うのですが、いかがでしょう。もしそうなら、ピアノなどで音程を取りながら、また、頻度としてもっとたくさん練習されることをおすすめします。
 ちなみに、合奏などでチューニングをする祭、オーケストラでは実音Aでチューニングします。Aの振動数は国によって違い、アメリカはA=440、日本は442から443、ドイツは445、ウィーンは446など。最近、ドイツでも440にもう少し近づけようとする動きもあるようです。ずっと昔は、A=416(ぐらい?)とか、A=465とか、地域により今よりももっとバラバラだったようです。
吹奏楽では、B(=Bb)管の管楽器が主体なので、Bでチューニングしますが、A=440でのチューニングなら、実際にはB=466ぐらいのおとを出して、B、つまりB管のドでチューニングしていることになります。ちなみに、故中山富士雄先生の教則本中には、B管といえどAの音を基礎に調整しているのだから、オーケストラのように実音Aでチューニングすべきだとあったように思います。B(=Bb)でチューニングすると、音程が狂うそうです。

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