re:piston or rotary  #5045
投稿者:  ロータリーTrp1号 (99/10/27 09:50)

 そのご意見、よくわかるような気がします。ロータリーとピストンでは音の立ち上がりが違いますからね。
 ロータリーも、特にモンケタイプなどでは、アタックというか音の立ち上がりが「ザン!」といったニュアンスが出しやすく、特にこういった音はブラームスに合ってるかと思います。カラヤンが振ったBPOとのブラームスの交響曲1番(1987年録音、CDはDG、LDはクラシカルソニー)では、ラッパに限らずこういう音づくりをしていたようで、重々しく、ドイツ的で最も好きな理想的演奏に思えます。
 同じカラヤンがウイーンフィルを振る場合、今度はロータリーでもウイーンスタイルの音になります。これはカラヤンに限ったことでなく、ウイーンフィルの特徴でしょうが、決して硬質に音でなく、あくまで柔らかいのですが、非常に明るく明確なアタックと音になります。
 手持ちのアルペンシンフォニー(R.シュトラウス)での、カラヤン/BPO(ラッパは1番メイン:グロート、1番アシ:クレッツァー)と小澤/VPO(1番:ガンシュらしい)を比較しても、同じようなことが言えるようです。グロートやクレッツァーはC管、ガンシュは日本公演でのティルでD管かEs管らしき物を吹いてましたので、アルペンシンフォニーのハイトーンは特殊管を使っているかもしれません。ガンシュのハイトーンは驚異的に抜けがよく、録音の中では際だってよく聞こえます。ベルリンフィルの主席たちも明快で輝かしい音質ですが、結局アンサンブル全体が聞こえるようなスタイルですので、ガンシュほどの切れはありません。(C管でハイトーンを踏ん張ってるせいもあるでしょうが。)これは同じロータリーを使っていても、今尚残る両団のスタイルの違いでしょう。
 BPOのブラームスは個人的には世界最高だと思います(もちろん好みを含めてですよ。)が、ウイーンも良いし、私はスタイルがちょっと違うなと感じましたが、古くはミュンシュ/パリ管(ラッパはもちろんC管ピストンでしょう)の燃えるような演奏も定評あるところ。シカゴ(ブラームスはモンケ使うかな?)などはもちろん良いでしょうが、モントリオール響などもC管ピストンでいい演奏するんでしょうね。
 ピストンが音の立ち上がりがより明快なので、そのような音を欲する指揮者や楽団、あるいはそれを要求する曲はあるでしょうし、その際、ロータリーでそれを何とか実践する人もありましょうが、ピストンに持ち換える人もあるでしょう。あるいは、ロータリー特有「ザン」を、ピストンで表現する人もたくさんいるはずです。
 BPOのグロートは、「楽器は何でも良い。そう違いはない。あるのは音楽のみ。ただし、楽団により音楽にスタイルがあるので、団に合わせる必要はある。個人的にBPOでロータリーに問題を感じたことは1度もない。ガーシュインなどピストンも良いがロータリーで問題なくふける。ただし、マーラーの1番の終楽章のようにミュートをつけたりはずしたりの時は、フィンガーフックがないので苦労する」と言ってました。ガンシュは「すべてにおいてロータリーが勝る」と言いきってますが。
 結局どっちでも良いんですよ。奏者や指揮者の好みや判断でね。(もっとも指揮者にどの楽器を使えと強要されるのは嫌いです。どんな音を出せと言われるのは当然のことでしょうが。)ジャズなんかは、ソロではロータリーも案外アピールするかもしれませんが、バンドでのスピード感のある音の場合はピストンの方がフィットするんでしょうね。でも、少なくともクラシックではロータリーはピストンより音楽をより表現できる楽器だと個人的には思ってますし、当面私個人はロータリー中心でいきますよ。(けど、やっぱクラシックでもフランス物やアメリカ物、あるいはポップスなんかはピストンかナー。)
 
    ロータリーTrp1号(ロータリー啓蒙委員会)


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