re:楽器で上達に違いがあるの?  #5984
投稿者:  ロータリーTrp1号 (2000/01/26 11:21)

ステューデントモデルは、吹きやすさと、それ以上に値段が手頃であることが特徴でしょう。ここで言う吹きやすさとは、
1.ヘヴィな楽器でないことによって、鳴らすのにそれほどパ
  ワーがいらないこと。
2.音程をとるのに楽器のせいで苦労しないよう、構造的に
  音程が正確であること。
3.壊れにくいこと。
4.子供の手にジャストフィットすること。バルブ部分の大きさ
  はしょうがないので、例えば、トリガーのフィンガーフック
  が調節式になっていることなど。

などの要素があげられるでしょう。4.については、コルネットが小学校低学年ならばより持ちやすいでしょうし、あるいはポケットトランペットやロータリー式に見られるキンダートランペットなどがり持ちやすい楽器であるといえるでしょう。

1.の鳴らしやすさですが、これはそのまま上級モデルに求められる反応の良さとは一致しない部分があります。上級モデルとはコンセプト、製造法が全く異なるからです。そうすると、上級モデルとはいかのような違いが出てきます。

1.上級モデルは、音のしっかり感が求められるので、ヘヴィ
  ーなものがある。しかし、ヘヴィーな楽器であっても、反応
  の良さが求められるため、製造工程において様々な作業
  が課せられる。
  (例)ベル1枚取り、ベルを叩いて整形する、音響焼鈍など
  
  これらの過程を経るので、コストがかかるが、ヘヴィーで
  もある程度反応が良かったり、または音色に味が出る。ま
  た、手作りの工程が多くなるので、メーカーや楽器1個体1
  個体に個性が生まれる。(ひどいときは製品のばらつきにな
  りますが)

2.軽めの楽器ももちろんありますが、これも同様に様々なコ
  ンセプトと工程を経て製品化されているので、いろいろな
  点で個性的な楽器になります。

 つまり、上級モデルはステューデントモデルに比べ、非常に個性的で、何年つきあっても飽きないような味わいがあるのです。これはなかなかステューデントモデルには求められません。仕方ないでしょうね。こういうところが上級モデル、ステューデントモデルのそれぞれの特徴であり、役割、あるいは存在意義なのですから。上手な人が吹くと、ステューデントモデルでも良く鳴りますが、そういう人にとっては、ステューデントモデルはすぐに限界を感じたり、飽きが来たりすることがあります。
 
 ですから、サンデーペッターさんのおっしゃるように、上級モデルを使って初めて、より多くのことに気付かされたり、音楽の楽しさが深まる、ということはあるでしょう。また、なにより、上級モデルがあこがれであるとしたら、そういう楽器を持てる喜びこそが、楽器の上達のモチベーションとして重要な一つであることも間違いないでしょう。
 ただし、特に大人から始めたりすると、その気になればすぐに上級モデルを持てるでしょうし、有り難みのわからない子供にいきなり買い与えても、上級モデルを持つことがモチベーションにつながらないこともありましょう。
 もう一つ、上級モデルは、特にヘヴィーなものなど、ある程度楽器を鳴らせて初めて個性を発揮できるものであることが多く、まだ十分に吹けない人にはならしにくく感じることもあるかも知れません。ですから、吹きやすい楽器を選ぶとことは大切ですし、上級モデルを吹いてもピンとこなかったら、今はまだ買う時ではないのかも知れません。

 ちなみに、ヤマハならゼノはやはり初心者にはきついでしょう。良さも発揮できるわけがありません。ただ、プロモデルなら吹きやすく、反応の良さ、音色の良さ、味わいなども十分に兼ね備えた楽器でしょうから、初心者(すぐには良さもわからないし、発揮できないでしょうが)から使って、飽きずに長く使える楽器だと思います。そして、さらに楽器に個性が欲しくなったら、そのときはかなり吹けるでしょうし、様々な楽器をお試しになったらいかがでしょう。


akiy@thsnet.or.jp