re:ヤマハ  #6149
投稿者:  ロータリーTrp1号 (2000/02/07 10:53)

 ヤマハラボのロータリーTrp(936,946)はモンケタイプです。旧カスタムの935は何度か試奏したことがありますし、945は所有してもおります。
 手持ちの936,946と比較してみると、やはりラボの方が吹奏感がしっかりしており、音色に張りや強さがあります。輝かしい音から柔らかい音、暗めの音まで、音色の変化の幅が大きく、ダイナミックレンジも大きいです。
 今は、936をメインにB管主体で、C管の時は主に946を使っております。以前B管のメインで使っていたバックは、鳴らしてみるとやはり良いですが、ピストンとロータリーの性格の違いで、当然のこととはいえ、音の深みにおいては格段の差があります。輝かしさはバックでしょうが、こちらの方はラボとは傾向が違う(ラボはより重量感もともなう)ので好きずきでしょう。
 音量ですが、ラボを使い始めた頃は、936はバックと比べ抵抗が少なく、その分息がどんどん入るので、その意味でごっつい感じがしました。私のバックは37のGPですが、周囲の人のものより抵抗は大きめでしたが、音色のせいでしょうか、きついが1度鳴ると他の楽器より良く鳴る気がしました。しかし、ラボの抵抗に慣れた今では、音量においてもバックの比ではないというぐらい、いくらでも出ます。ハンス・ガンシュが音量においてロータリーが上だと評したことがよくわかります。
 
 モンケは、何回か試奏した限りでは、独特の粘るような抵抗があり、慣れないと反応が遅く感じるようです。(もっとも、ユーザーにとってはそれが独特魅力でたまらないそうです。)また、音量のキャパシティーが非常に大きいようですが、しっかり鳴らすにはかなり骨を折らなくてはならない感じです。しかし、1度鳴らせると何とも言えぬ響きがあるようです。ヤマハよりごつい感じです。

 ラボを吹いたあるプロの方(モンケB管使用)が、「吹きやすい」とおっしゃってましたので、「モンケタイプの鳴り+扱いやすさ」を求め、よりオールラウンドに使うならラボが、「扱いやすさ」を多少犠牲にしても、昔ながらの北ドイツのロータリーの重厚さを吹き心地から求めるのであれば、よりモンケがあっている。そんな風に言えると思います。ここらは、他のメーカーのモンケタイプも含めて好みでしょうか。
 ラボも、C管946はより抵抗があり、バテてきたときなどは、B管936よりコントロールはさらに容易に思います。936は、慣れたとはいえ、私にはバテがくると、コントロールが少ししんどくなってきます。上の実音Fなど、fからpのデクレッシェンドにおいてピッチが少し高めになり、なかなか修正しにくくなります。pでピッチがあがるのは、奏者の問題とは言え、良くあることですが・・・。

 旧カスタムは、鳴りの強さや音色の輝かしさ、重厚さなどにおいて、ラボには劣ると思います。絶対音量もそうかも知れませんが、なにより音色のキャラクターと吹奏感がそう感じさせます。その意味では、ヘッケルタイプ(同じヘッケルでもウイーンのタイプ)により近いと言えましょうが、現在ヤマハはウイーンモデル937,947を出してます。こちらはよりウイーンらしさを醸しだし、かつ吹奏感もしっかりしています。
 
 小学4年生の長男に聴かせながら、946と947をヤマハ銀座店で吹き比べたところ、947は音が明るく軽め、946はより深みがある感じだと言ってました。(表現はもっと子どもらしい言い方でしたが。)たしかに、キャラクターの違いはあります。単純には、946の方がより重厚感があり、ラッパらしく輝かしく、柔らかくも吹け、多分より魅力があるように感じると思います。しかし、947はウイーンモデルらしく、「ウイーンフィルのイメージの音色」=「明るいが柔らかく、とげとげしくならず、軽めの音だが格調高く、うるさくなりにくく耳に心地よい」音が表現できるのです。ガンシュはウイーンフィルで946を使ってウイーンの音を出してましたが、やはり947の方が上記のイメージの音をつくりやすいと思います。ウイーンモデルでは、B管937よりC管947がよりウイーンらしいように思います。これはウイーンフィルが1番のみならず、全パートでC管主体であることによるイメージの問題かも知れませんが。

 旧カスタム935,945はモンケとヘッケルで言えばヘッケルよりの中間タイプといえるでしょうし、それ自体良い楽器だと思います。ただ、やはりラボやウイーンモデルの方がいろいろな意味でより進化し、さらにキャラクターもはっきりしている楽器だといえるでしょう。(935,945ユーザーの方、気を悪くされたらごめんなさい。)

 


akiy@thsnet.or.jp