re:ラッパ吹きって・・・  #6436
投稿者:  ロータリーTrp1号 (2000/03/03 10:00)

 サンデーペッターさんや、うにょさんの感じ方、多分私もそれに近いだろうと思います。
 
 11月にベートーヴェンの第九、1月にチャイコフスキーの5番をやりました。気を使うのはどっち?しんどいのはどっち?というと、どっちもきついですが、第九がよりきついかな。また、気を使うという点では断然第九です。

 第九は、チャイ5はもちろん、同じベトーヴェンの5番(運命)より旋律=主役になる部分が少なく、リズムを刻むような音が多いのですが、単純に見えて非常に気を使う。実音Dが4回続く場面で、最初2回が長調、後2回が短調になり、短調の部分は「短調の音色で!」って指揮者から要求されたとき、どないしよう?と思いました。抽象的には言いたいことはわかりますが、具体的には?まあ、色々考えました。
 結果的に指揮者の要求に応えられたかどうかは別にして、非常に勉強になりました。同じ音でも、ハーモニーが違うと、役割がかわってきますので、純正調なら音程のコントロールの必要性が出てきますからね。まあ、頭でわかっていたとしても、なかなか難しいですが。

 音色のコントロールも自分ではつけられるつもりでしたが、場面によっては、自分がイメージする音色がコントロールしきれない、なんてこともあり、やはり奥が深いですね。
 モーツァルトやベートーヴェンのような単純に思える曲の方が、オーケストレーションの関係で、ラッパが裸で聞こえやすいので神経使います。また、4分音符一つ奏するにも、吹き方があるはずで、なーんにも気を使わないで何となく吹いていたんでは演奏効果も上がらないし、なにより意味がない。
 プロもその辺りに悩むので、ドイツとかオーストリアに留学して、本場の伝統を学ぼうとするんですね。
 
 残念ながら、私にはCDなどが唯一の先生となるわけですが・・・。

 でも、こんなこと考えながらやってると、モーツァルトやベートーヴェンはとても楽しいですし、ブラームスなんて格別。ブラ1なんて最後の最後まで、ラッパが主役になるところはないけど、それでもブラ1を演奏できたときの感激は忘れがたい。

 ベートーヴェンなんてつまんなくて嫌いだと、私と入れ替わったオケ(アマ)の前任者は、言ってたそうです。音大出のラッパ吹きですが、よりソリスティックなものが好みなのかも知れませんが、私にとって、第九こそ最高峰の曲です。

 もちろんチャイコフスキー、ブルックナー、マーラーなど、第九とならぶ作品がありますし、それらも大好きです。ブラ1やブラ4なども偉大な作品で、とてもおもしろい。
 チャイコフスキーを含めて、これらはロータリーで演奏するのが好きですね。私は「明るい音」派ですが、でも、縦ラッパ的な音は出していないつもりですけど・・・?縦ラッパを吹くと、近代フランス(ラヴェル、ドビュッシーなど)もので繊細かつソリスティックで切れのある音が欲しいときピストンC管を吹く以外、少しいやになります。で、やっぱりロータリーだなって。

 ブラームスやベートーヴェンはラッパの旋律としては、それ自体はおもしろくないかもしれませんが、何せ曲が素晴らしい。もちろんチャイコ、ブルックナー、マーラーなどもですよ。他にもオケの名曲、たくさんあります。たとえラッパがそんなに活躍しなくとも、こんなすごい作品、トランペットのソロピースにあります?ブラスアンサンブルにあります?(アンサンブルには結構いい曲ありますけど、やはりオケものと比較するとね)オケだけのものですよ。

 これが、ハーセス(CSO)やグロート、クレッツァー(二人ともBPO)らが、オケにとどまった理由ではないしょうか。シュリューター(ボストン)しかり、フィル・スミス(ニューヨーク)しかり、あるいは日本では津堅さんや関山さんなど、その他にも大勢のオケのラッパ吹きが・・。

 私をこんな名手たちと並べるのは変ですが、でも、私自身ソロにはあまり興味がありません。アンドレがどんなにすごくとも、私にとってはオケ吹きこそがスターであり、ソロピースやるよりオケもの吹いていた方がはるかに楽しいのです。

 
 まあ、ジャズ、ポップス関係の方はまた違うでしょうが、クラシックに関してはこうなんですね。


p.s.津堅さんのN響チャイ5、BSで聞きました。very Good!
 井川さんがべったりアシスタントでしたが、そもそもロシア人でもあれの1番を1人で吹くのは無理。最後は音やせしてしまうことが多いかな。BPOは基本的に倍管、あのハーセスだって展覧会ではアシストつけてキエフ吹いてましたもんね。
 以前、このBBSで、あまり良くないこと書いちゃいましたが、そのとき結果を出してもらわねば、と綴りました。で、それをご覧になったわけではないでしょうが、見事に結果を出されました。脱帽です。あれなら、十分世界で通用するラッパセクションだと思いました。
 一緒に聞いた息子(小4)も、感心してました。私の演奏と比較してでしょう。小4の子にわかるんですから、その差は歴の然!(まあ、当然ですが)まいりましたと言わざるを得ない。(もちろん、私が津堅さんに勝ってやろうという意味ではなく、日本のプロが世界と比較してどうかという意味で)
  BRAVO!