re:音程について  #7749
投稿者:  ロータリーTrp1号 (2000/07/11 16:16)

 楽器を吹く上で常に忘れては鳴らないだろうことがあり
ます。それは、金管楽器は楽器であって楽器でないとい
うことです。

 楽器には、発音体と共鳴体があります。ヴァイオリンは
弦が発音体、ボディが共鳴体です。クラリネットやオーボ
エなどはリードが発音体、管が共鳴体です。
 
 金管楽器は?唇=奏者自身が発音体、楽器は共鳴体
です。発音体こそが楽器の本体でしょうから、となると金
管楽器は奏者が楽器なのです。

 共鳴という現象は高校物理で習います。そんなもの、わ
かんない、習ってないという方あるでしょうが、出来ればこ
のことを押さえておくと、楽器を吹くときより良くイメージでき
ます。
 共鳴とは、ある振動数の音(=ある高さの音、A=442
Hzとかいいますが、これが振動数で、この1オクターブ上
のAが倍の884Hzの鳴ります。)が鳴るとき、管がある長
さの時のみ共鳴し、音が鳴ります。
 
 つまり、発音体の音が特定されると、そのとききちんと鳴
る管の長さは決まってくるということです。逆に言うと、ある
管の長さ(つまり、何番バルブを押すか)が決まると、それ
に対し共鳴しうる音を唇で発しないと、まともな音にはなら
ないということです。

 ですから、基本的には音程は奏者が作るということです。


 ところで、管楽器の共鳴は、実はどうやら結構アバウトで、
ある程度許容度あります。つまり、多少狂った音でも共鳴す
るということです。
 この許容度がないとすれば、誰が吹いてもきちっとした音
程がとれるということでしょうが、実際そのような楽器はで
きないのではないかと思いますし、また、その許容度が、あ
る程度吹ける奏者にとっては、様々な表現や微妙な調節の
上で役に立つからです。というのも、単純な理論からすると、
音程の正確な楽器を作ることは絶対に不可能だからです。
ですから、楽器の音程に対する許容度が必要になると思わ
れます。

 ということは、なおのこと、音程については、奏者がしっか
りする必要が出てくるということです。 

 文には、練習不足かとありましたが、音程を奏者が作り出
すには、ある程度楽器を吹く上での筋力、体力が必要です。
これは基本的には楽器を吹いて練習してはじめて身に付くも
のです。ですから、現時点で音程が正しくないとしたら当たり
前ではないでしょうか。

 それにはただただ練習あるのみ。ロングトーンやリップス
ラー、音階練習、タンギングなどの基礎練習。それと曲の
練習。何でもいいんです。練習してれば上手くなる。体力
も付く。経験が浅いんでしょ。音程など気にしないでどんど
ん吹く。(なんて、少しは気にしながらの方が結果はよいと
思いますが。音程は、最初は仲間に何とか会わせようとし
てみて下さい。)

 それと、耳が悪い(=音感がない)と、どんなに吹けても、
音程は正しくなりません。チューナー、ピアノ等で、正しい
音程感を身につけることも大切です。
 音程感が身に付き、体力が身に付けば、そのころには、正
しい音程で吹くための身体の使い方は自然に出来ているで
しょう。そうすれば、今度は、チューナー、ピアノなどで音を合
わせながら、音程をとる練習を集中的にしてみて下さい。

 まあ、焦らないで下さい。プロだって、常に音程とは格闘し
ているんですから。このHP見てる人で、俺の音程は完璧だ
なんて言える人があったら、ソクラテスの無知の知じゃない
けど、少なくともその人よりあなたや私の方が上手いので
はないでしょうか?


 p.s.1.
  楽器の音程は、バズイングやマウスピースだけの練習
 ではうまくいかないでしょう。きちんとトランペットで練習す
 るのがよろしいでしょう。

 p.s.2.
  このようなことはあまりないと思いますが、楽器が悪けれ
 ば、どんなに頑張っても、奏者では音程のことはカバーで
 きません。そのときは、その楽器、あきらめないといけない
 かもしれません。


akiy@thsnet.or.jp