re:主抜差管以外の抜管について  #8251
投稿者:  やちまう (2000/08/15 17:27)

すでにいくつかのフォローがなされていますので、蛇足かもしれませんが・・・。

まずは楽器そのものの構造を理解されていますか?

ヴァルヴ(ピストン)を全く押さなかった場合、バイパス(つまりは迂回管である1〜3番管)を
経由しないで最も短い管長になります。
1〜3番管はそれぞれヴァルヴを操作した際の迂回管となり、その分だけ管長が長くなります。

管の全長が長くなるということは、その分だけ音高が下がると云うことですね。

ヴァルヴを押していない状況では、1〜3番管は言わば切り離されているワケで、常に管の全長に
影響を与えるスライドはチューニングスライド(主管)だけということになります。

以上に関しては・・・
「インターネットで会える日本のトランペット奏者たち」でおなじみのBABYさん作のGIF画像を見る
のが一番手っ取り早いかも。(・・・BABYさん、画像の在処を変えないでね。(笑))

http://homepage1.nifty.com/trumpet/tpbtmv.gif

チューニングスライド以外の各スライドは、そのヴァルヴが押されているときの管長を微調整する
ための物です。(管長を長くする方向、つまり音程を下げる目的)

さて、音程が高くなりがちな運指の定番に【13】と【123】というのがありますが、一般には3番
スライドを延ばすことにより音程を調節します。ところが、パッセージによっては1番スライドに
よる調整が要求されることもあります。

(例1:速いパッセージやトリルなどで)
【13】→【23】→【13】→【23】
【123】→【23】→【123】→【23】
・・・など

例1の場合で3番スライドを使うと事実上、演奏不可能です。(3番スライドを戻す余裕はないし、
そうかといって延ばしたままでは【23】の運指の音程がぶら下がってしまいます。)
この場合、1番スライドを利用すれば何の問題も起きません。

「じゃ、いつも1番スライドを使えばいいのでは?」っていうのはマズイですね。
下記の様な運指だったらどうします?

(例2:速いパッセージで)
【13】→【1】→【13】→【1】

例2の場合だと【1】の運指の音程がまずくなってしまいます。
それに、スライドの長さには制限があります。短い方である1番スライドではすっぽ抜けてしまう
場合だってありますよね? 3番スライドを使うのが一般的なのはこの理由からです。

また、1番スライドと3番スライドを同時に目一杯延ばすというシチュエーションもあります。

(例3)
ビゼー:「カルメン」組曲〜前奏曲
フンメル:「トランペット協奏曲」〜第1楽章(Es-durの場合・・・必須ではないけど)
・・・など

以上、ご参考になれば幸いです。


# どうも私の文章は理屈っぽくなってしまう・・・(^_^ゞ

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やちまう(やまっち)
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