re:飛ぶ音の体験  #9937
投稿者:  ロータリーTrp1号 (2000/11/29 09:39)

 どのような楽器を使い、どんなジャンルの音楽であっても、ラッパが鳴るということは、重要なことだと思います。鳴らないラッパでは、少なくとも一流のプロとは言えないでしょうね。ただし、やはり音楽のスタイルのことを頭に入れないと、大きな誤解を招きかねないでしょうね。特にクラシックでは。

 ロシアのオケでは、MPが概して他の国(日本も含む)に比べ、口径が小さいものを使っているようで、集中性に富む音は、まさにそこら辺の用具選びの段階から、彼らがそういう音を目指しているからに他なりません。また、楽器もまだ1番とてB管主体のようです。バックのストラッド37ベルイエローブラスあたりを楽器としても好んでいるようですね。
 アメリカは音の傾向がちがうようです。MP口径も大きく、明るくともよりダークな、太い音、それでいてビッグサウンドを目指す傾向があるようです。イエローブラスを好む傾向は同じようですが。

 ドイツはもちろんロータリー主体であり、材質的にもゴールドブラスあたりのどうが多めのものを好みます。決して暗い音ではありませんが、明るくとも、オケの表面をラッパの音が飛び交うことをきらい、よく聞こえつつもオケの中にとけ込むことを目指しているので、ロシアのオケあたりとは聞こえ方が異なるでしょう。オケの表面で飛び交う音を嫌い、祖国アメリカを離れ、ドイツの放送響(バイエルン)の主席になったC.ゲッティングなんかもいますしね。
 オケにとけ込む音でも、聞こえなきゃどうしようもないですが、しかし、特にブルックナーなど、どんなfffでも、ラッパが突出するのではなく、ブラスセクションが大きな固まりとして、さらにはラッパの音は良く聞こえつつオケ全体が大きな固まりとして聞こえるのです。これは彼らがまさにそれを目指しているからです。

 日本はまさにインターナショナルというか、各国のいいとこどり(悪く言えばベースがない)なところが感じられますが、それでも、ドイツよりの考え方でしょうか、GBの音が好まれる傾向(特に2番以下は)があるように思います。しかし、個人差が大きく、このあたりも日本のラッパ界としての「ベースがない」ことを象徴しているようです。アメリカ派、ドイツ派、フランス派、ごちゃ混ぜですもんね。

 我々がオケや吹奏楽でどのような音をラッパで奏でるかは、鳴る鳴らないを別にして、まず、全体としてどのようなサウンドを目指すのかが問われるところがあります。そこら辺を考えないと、鳴るのはいいんだが、ラッパばかり突出した、楽団全体として、アンバランスな、???な演奏になりかねないでしょう。
 
 まあ、私自身は良くなるラッパが好きだし、それを目指すあまり、本当の鳴りを身につけたかどうかは別にして、著しくバランス欠いた演奏にしてしまったこともありますが。